企業や非営利団体が無料ブログを使ってはいけない7つの理由
私がクライアントに真っ先にいうことがあります。
「無料ブログを使うのはやめましょう」
多くの企業が無料ブログを使っています。
2010年頃まで「ブログを運営するならアメブロを使え」というWebコンサルタントが多かったのが原因の一つかと私は思います。その時のアドバイスが今でも生きているのかもしれません。
無料ブログを使っているケースでは、なにはともあれ真っ先に自社のWebサイトのドメイン内にブログ記事を移行することを考えます。
もちろん手間がかかります。多大な手間をかけてまで移行する必要があるのは、以下に述べる非常に大きなデメリットがあるからです。
1.ブログ自体が消滅する危険性が常にある
無料ブログはブログ運営業者の所有物です。
いつ消されても文句はいえないのです。
ブログというものは膨大な労力をつぎ込んで運営されるものです。そのような大切な会社の資産というべきものを、なんら保守すべき義務を負っていない他者にゆだねてよいのでしょうか?
「心配しすぎ、消されるなんてことはないよ」と思われるかもしれませんが、以下のようなケースが実際にあるのです。
1−1.ブログ運営業者から削除される危険性
最も重要でかつ致命的な理由です。
セミナーの勧誘を行うのは某大手ブログサービスでは規約違反であり、これが理由と考えられる削除がなされることがたまにあります。
企業や団体が活動を行っていれば、セミナーの告知を行いたい時も発生するでしょう。現に当社でも毎月実施しております。
自社ブログで告知ができないという制限があることは不便です。
そして、セミナーの告知をしなかったからといっても削除されないという保証もありません。
削除される場合、告知なしにいきなり削除されます。この瞬間にもあなたの会社のブログは削除されているかもしれません。
1−2.ブログサービスそのものが終了してしまうことがある
大手の会社が運営しているブログサービスであっても安心とは限りません。
- NTT系のプロバイダー「ぷらら」運営ブログサービスBroach(ブローチ)
- KDDI株式会社の運営のブログサービス「LOVELOG」
このような大手企業のサービスでも終了してしまったものがあります。
サービスが終了してしまうと記事は消されてしまう可能性が高いです。
また、幸運にして他の運営会社にブログが移行される場合であったとしても、ブログのURLは変わってしまうでしょう。
そうすると、ブックマークや販促物などに記載されていたURLからアクセスできなくなってしまいます。
そしてURLが変わってしまう最大のマイナスポイントは、検索順位が大きく落ちてしまう可能性が高いことです。
順位が落ちる詳しい理由はここでは触れませんが、とにかくこのようなデメリットがあるわけです。
大手ブログでいえばFC2ブログなどは閉鎖される可能性が高いと私は考えてます。
FC2の実質的な経営者と目されている人物が逮捕されたりしている状況です。いまだに企業ブログをそのままFC2を使って継続している会社もありますが私には意味がわかりません。
2.SEO(検索エンジンからの集客)において不利になりやすい
2−1.検索結果には同一のブログサービスからは最大でも4ページまでしか表示されない
検索結果には1,000番目までが表示対象になります。
この1,000番目までの表示対象の中で、同一のブログサービスからは最大でも4ページしか表示されません。
そして、もっと重大なことは検索1ページ目には、通常は1ページしか表示されないことです。
Googleは検索結果に多様な情報を表示し、様々な検索ユーザーの知りたいニーズに対応しようとします。
そのため、同一のドメイン名で多くのページを表示させないようにしているのです。
無料ブログは多くの有名人がPRのために使ってます。
芸能人や有名スポーツ選手といった人が運営するブログは人気が高く、検索エンジンからの評価も非常に上がりやすいです。上位に表示されやすいのです。そのため、もしある有名人が書いた内容と類似の内容を書きたい場合に、検索結果で上位になることは困難になります。
2−2.無料ブログは自身のWebサイトのSEO評価につながらない
Googleといった検索エンジンは、情報の充実したページを上位に表示させようとします。
情報の充実度を測る重要な尺度がページ数です。
特定の情報について、10ページしかないWebサイトより、1,000ページあるWebサイトのほうが情報がずっと充実していると考えるのが普通だからです。
無料ブログをいくら頑張っても、自社Webサイトのページ数は増えていきません。
せっかく更新しても検索エンジンからの評価があがらないのです。ブログを自社のWebサイト内においておけば、コツコツと更新していくことで、徐々に検索エンジンからの評価はあがっていきます。
無料ブログをせっせと更新することは、ブログサービス業者が運営しているWebサイトの評価を高めるだけのもったいない行為なのです。
3.ブランドイメージを損ねる場合がある
3−1.無料ブログには信用性がない
無料ブログは誰でも身分を明かすことなく借りられる無料の宿舎みたいなものです。
とある企業の名前を名乗って赤の他人がブログを作ることも簡単です。
当然ながら信用されにくく、ブランディングの構築につながりにくいのです。
3−2.想定しない広告が入ってしまう
3−2−1.アダルト系の広告が入ってしまう危険性
FC2は特に顕著ですが、ブログ内にアダルト系の広告が入ることがよくあります。
企業ブログでアダルトの広告が表示されてしまうという事態は致命的で、絶対にあってはならないことです。
とってもいいことが書いてあるブログでも、アダルト系の広告が入っていると全てぶち壊しです。
実はFC2は有料プランがあり1ヶ月300円払えば広告を非表示にすることもできます。しかし、これでは無料ブログとはいえないですね。
3−2−2.いやらしい雰囲気の画像広告が入ってしまうことがある
アクセス解析で著名な某Webコンサルタントから聞いた話です。
ソーシャルゲームの画像広告をユーザーがクリックする率は、広告の中の肌色の割合にかなり比例するといいます。
この種の画像広告を作る際にそのような狙いをもって作られることが多いので、企業のブログにはふさわしくないはずです。
3−2−3.競合他社の広告が入ってしまう
ページのテーマとの関連性が高い広告が表示されるのが普通です。必然的に競合他社の広告が表示されるでしょう。
4.ブログ全体の評価が影響してしまう
4−1.接続できない設定がなされている場合がある
そのため様々な企業のインターネット接続設定において、FC2のページには接続できないようにしていることがあります。ビジネスに使うには論外といえましょう。
4−2.ブログ全体が検索エンジンからの評価が下げられたら巻き込まれる
大手ブログであるSeesaaブログでの出来事です。ブログ全体が2015年の9月にまったく検索結果に表示されなくなるという出来事がありました。
これはブログ全体がGoogleからペナルティを受けたためといわれています。Googleのガイドラインに自分自身が何も違反していなくても、ブログ全体がペナルティを受けてしまうと、自分ではどうすることもできません。
このようなリスクが常に無料ブログにはついてまわるのです。
5.自分で作成したコンテンツの利用権がわたってしまう
各社の利用規約を見てみましょう。
1)ライブドアブログ
利用者は、本サービス等の利用に際して利用者が掲載・表示・送信等(以下「掲載等」といいます。)を行ったデータ(映像・音声・文章・写真・電子メール・メッセージ・アップロードされたウェブコンテンツ、ソフトウェアその他一切のデータをいう。以下同様とします。)につき、当社が、利用(複製、上演、演奏、公衆送信(自動公衆送信における送信可能化を含みます。)、口述、展示、頒布、譲渡、貸与、翻訳・翻案を含み、以下「利用等」といいます。)することを、無期限かつ無償にて、非独占的に許諾します。。
2)はてなブログ
本サービスの提供、利用促進及び本サービスの広告・宣伝の目的のために、当社はユーザーが著作権を保有する本サービスへ送信された情報を無償かつ非独占的に以下のような形式で掲載、配布することができ、ユーザーはこれを許諾するものとします。
アカウント登録者を含む利用者からSeesaaに送信された情報およびコンテンツにつき、アカウント登録者を含む利用者は、日本の国内外で、無償で、非独占的に、それらの使用、複製、変更、削除、翻案、翻訳、掲載、開示、提供、二次著作物の作成、配布などができる権利をSeesaaに許諾し、同一性保持権などを含む著作者人格権を行使しないことに同意したものとみなします。
4)FC2
ユーザーが本サービスを通じて発生した作成物は、編集、翻訳、出版、実演、展示、プロモーション、配布その他のあらゆる事由に関する権利をFC2が無条件で利用できるものとします。
5)Yahoo!
お客様は当社に対して、日本の国内外で無償かつ非独占的に利用(複製、上映、公衆送信、展示、頒布、譲渡、貸与、翻訳、翻案、出版を含みます)する権利を期限の定めなく許諾(サブライセンス権を含みます)したものとみなします。
6)Ameba
当社は、利用者が本サービスにおいて投稿、アップロード又は保存した全ての情報(文字情報、画像情報等を含みますがこれらに限られません)について、これらを保存・蓄積した上、本サービスの円滑な運営、改善、当社又は本サービスの宣伝告知等(第三者のメディアへの掲載を通じた紹介記事・コンテンツ等も含まれます。)を目的として、あらゆる態様で利用できるものとし、利用者はこれに同意するものとします。
これをご覧になればわかるかと思いますが、無料ブログ各社ともにコンテンツの利用権をブログサービス業者に無償で譲ることになっています。
これを見たら、企業だけではなく一般個人としても無料ブログをつかうことをためらう気持ちになると思います。無料であるということはこの見返りでもあるのです。
6.ユーザーにとって不利な規約変更が常に起こりうる
どのブログサービス業者も規約変更は常に行うことができるということが、規約の中で述べられています。
Webページに掲載されている長文の規約をよく読んで、内容を確認したとしても結局は意味がないのです。
7.タグの埋め込みに制限を受ける
Webサイトの運営において、Google AnalyticsやGoogle Search Console、リマーケティングといった機能はとても重要です。
特にGoogle Analyticsなどのアクセス解析が重要です。これ使えないと何も分析できないといった状況になりマーケティングの観点から著しい制約を受けます。
無料ブログはJavascriptなどの貼付けを許可していないことが多いので、これらの機能が使えない時が多いのです。
ちなみにアメブロはGoogle Analyticsの使用が可能です。
8.終わりに
いかがでしたでしょうか。
これをご覧になってもまだ企業や団体のブログを、無料ブログで運営しようと思われますでしょうか。
これだけのデメリットがあるにも関わらず、いまだに無料ブログを企業のブログとして推奨するWebコンサルタントも存在するようです。
もしあなたの会社のコンサルタントがそうであれば、知識が著しく古いか、聞きかじった知識を語っているだけのド素人だと断言します。そのコンサルタントのアドバイスは役に立たないばかりかむしろ有害なので、今すぐ契約を解除することをお勧めします。