コンテンツSEOとリターゲティング広告を併用し効果を数倍に高める方法
コンテンツSEOという言葉が2014年頃から流行しています。
「検索エンジンは充実したコンテンツを評価するので、充実したコンテンツを作ってSEOを行おう」という考え方です。
方向性は間違ってはいないのですが、それだけではなかなかコンバージョンが取れないのが現実です。
実際、コンテンツSEOに真面目に取り組んでいる人からは「検索流入は増えたけれど、思ったほどコンバージョンにつながらない」という声も聞かれます。
それには理由があるのですが、詳細は後述するとして、まずはひとつの解決策として「コンテンツSEOとリスティング広告を組み合わせる」ことをおすすめします。
この記事では、両者を複合的に運用して効果を飛躍的に高める方法を解説します。
コンバージョン獲得の確率を数倍、場合によっては数十倍に高めることができる方法です。
まずは使用広告として想定している「リターゲティング広告」と「RLSA」について簡単に説明し、そのあとに具体的な方法や理論を解説していきましょう。
目次
1.リターゲティング(リマーケティング)広告とは何か
2.RLSAとは何か
3.リターゲティング広告・RLSAの効果
3−1.リターゲティング広告の効果
3−2.RLSAの効果
4.リターケティング広告・RLSAの欠点
5.コンテンツSEOとリマーケティング広告・RLSAは欠点を相互補完する関係にある
5−1.コンテンツSEOとリターケティング広告・RLSAの長所・欠点
5−2.コンテンツSEOとリターケティング広告・RLSAを組み合わせる
6.最後に
1.リターゲティング(リマーケティング)広告とは何か
一度Webサイトに来訪したユーザーに対して、追跡するようにバナー広告やテキスト広告を表示させる広告手法です。
リターゲティング広告とリマーケティング広告は同じもので、運営者がGoogleかYahoo!かの違いです。ディスプレイ広告に分類される手法の一種で、単に「リタゲ」と呼ぶこともあります。
下の画像を見てください。
これは情報サイトとして有名な「AllAbout」のキャプチャです。
赤枠で囲った部分がGooglの広告枠で、リターケティング広告はこういった場所に表示されます。
一度来訪したユーザーを追跡して、このような広告枠からアプローチし続けることができることが最大の特徴といえるでしょう。
ユーザーは、一回来訪しただけだとコンテンツの内容をすぐに忘れてしまったり、ちょっと興味を持っても十分に購入意欲が高まらないことがよくあります。
リターケティングはそういったユーザーに対しても定期的に働きかけることができるため、効果的なのです。
2.RLSAとは何か
「RLSA」とは、「Remarketing Lists for Search Ads」の頭文字をとった略称です。
日本語でいえば検索広告向けリターケティングとなります。国内ではGoogleが提供しており、Yahoo!は提供していません。
これは検索連動型広告の発展版の手法です。
通常検索連動型広告は指定したキーワードを検索したユーザーに対して、検索結果画面に広告を表示させるものです。
RLSAは検索キーワードにプラスして、自分のWebサイトに来訪したユーザーであるかどうかを加味することができるのです。
来訪したユーザーに対しては、通常よりも高い広告単価を設定する、違う広告文を表示するということができます。
これもまた、前述のリターケティングと同じく継続的にアプローチし続ける方法です。
3.リターケティング広告・RLSAの効果
3−1.リターケティング広告の効果
私はその昔なのですが百貨店に勤めていた時代があります。売り場に出た時に最初に教えられたことがこれでした。
「お客さんがある商品を手にとったとして、その時に接客をしてはいけない。でも、どこかに行ってまた戻ってきて再度その商品を手にとった時はアプローチして接客しなくていけない。」
2回めに手に取る時というのはある程度買おうという意志をもって来ているのです。
だからその時は商品説明をしないといけないというわけですね。
リターケティング広告はこれに非常に似ています。
一度サイトに来訪したユーザーは、そのサイトでは何を売っているのか?を覚えています。
広告を見てユーザーがクリックして再訪問してくる時は、購入するという意志を固めている可能性が高いのです。クリックされないで表示させるだけであれば費用がまったくかかりません。クリックされた時点ではじめて費用が発生します。
この購入する意志を固めている可能性が高いユーザーにだけ、費用を払うという広告手法なのでずば抜けて費用対効果が高いのです。
3−2.RLSAの効果
入札単価が1,000円の検索キーワードがあったとします。
このキーワードで売りたい商材があったとして、売れたら50,000円儲かるとします。しかし、今までの運用実績では購入につながる確率が1%しかないということがわかっていたとします。
そうすると、50,000円の儲けを得るために100,000円かかるわけです。言うまでもなく赤字ですね。
しかし、RLSAを使うと状況が変わってきます。
例を挙げてみましょう。
非常に手間がかかるコーヒーの美味しい淹れ方を書いた情報ページを作っているとします。
そして売りたいものはプロのノウハウを活かして作った高級なコーヒーメーカーであったとします。
この種のページを2ページ以上読んだ人に対して、RLSAを使って検索連動広告を出稿します。
通常ならば1,000円で出稿しても赤字になるところです。通常は赤字になるので検索結果に露出しないことを承知で200円しか入札していないとしましょう。
しかし、2ページ以上読んだ人はコーヒーに対して非常にこだわりがあって、美味しいコーヒーを自分で作って飲みたいと考えている可能性が非常に高いと思われます。
このようなユーザーであれば、通常の購入確率よりも高い購入確率になります。場合によっては5倍や10倍といった確率になることも十分ありえます。
そのような購入確率になれば入札単価が同じであっても、大きく黒字になるわけです。
ユーザーが読んだコンテンツのページの情報と連携して、検索連動型広告のキーワードの入札単価を設定するのです。費用対効果(CPA)を飛躍的に高めることができるのがRLSAなのです。
4.リターケティング広告・RLSAの欠点
リマーケティング広告・RLSA、いずれも費用対効果が他に比べて圧倒的に高い広告手法です。
しかし、この2つには決定的な欠点があります。それは、
「集客力がまったくない」
ということです(類似ユーザーを含めると話は少々変わってきますが、ややこしくなるのでここでは触れません)。
一度来訪したユーザーにしかアプローチできないので、理論上は集客力はゼロなのです。
5.コンテンツSEOとリターケティング広告・RLSAは欠点を相互補完する関係にある
5−1.コンテンツSEOとリターケティング広告・RLSAの長所・欠点
アクセス数 | コンバージョン | |
コンテンツSEO | ◯ | △ |
リマーケティング広告・RLSA | × | ◯ |
一言でまとめると上記のようになります。その理由を以下に説明します。
5−1−1.コンテンツSEO
「アクセスは取れるがコンバージョンがなかなか取れない」
ユーザーが求める情報を提供することによって、Webサイトに多くのユーザーを集めることができます。
一般的に検索という行為は、ユーザーが知りたい情報を検索エンジンを通じて取得しようとする行為です。
検索エンジンは役に立つ情報を上位に表示させるように作られています。従って、ユーザーが知りたい事柄についてどのサイトよりも詳しくわかりやすく情報を提供すれば、必然的に検索順位が上がりユーザーを集めることができます。
しかし、Webサイトに来訪するユーザーは情報を求めているのであって、今すぐ購入したいと考えていることはまれです。
例を挙げてみましょう。
ダイエットの方法の情報を収集しているユーザーが、今すぐダイエットのためのサプリメントをWebサイト上で買うということは、なかなかないでしょう。ニーズがあったとしても、購入までの心理的段階として遠いユーザーが集まるのがコンテンツSEOなのです。
5−1−2.リターケティング広告・RLSA
「コンバージョンは取れるがアクセスがまったくとれない」
濃い見込み客を選択的に集めることができるので、非常に高いコンバージョン率と費用対効果が見込めます。しかし、アクセスがとれません。
5−2.コンテンツSEOとリターケティング広告・RLSAを組み合わせる
前述したとおりコンテンツSEOとリターケティング広告・RLSAは真逆の特性があります。
その2つを組み合わせることで、相互の欠点を補いあい最強の集客手法になるのです。
では組み合わせるとどうなるのでしょうか?例えば中古パソコンの販売のショップを例にとって説明しましょう。
RLSAは前述のコーヒーメーカーの例でもうお話したので、リターケティング広告について説明します。
- 中古パソコンに関する様々な情報を提供するコンテンツ群を作成します。
「Windows Vistaの中古パソコンをWindows10にアップデートする前提で購入しても大丈夫か」
「リカバリディスクが付属していない中古パソコンを買う時の注意点」
「中古パソコンを買うときの10のチェックポイント」
といった役に立つコンテンツ群を作ります。 - 「windows vista 中古パソコン」「リカバリディスクない 中古パソコン」「中古パソコン チェックポイント」
といったキーワード検索によってユーザーがページに来訪します。 - 来訪したユーザーのほとんどはの購入には至らず、コンテンツだけを読んでWebサイトから去ります。
- リターケティング広告でユーザーを追います。
リターケティング広告は様々なパターンを作ることができます。
例えば、
Windows Vistaのページを読んだ人に対して、
「Windows10アップデート作業サービス付き、お買い得Windows Vista Noteパソコン」
といった広告文をバナーの中に入れて訴求したり、検索連動型広告の広告文でPRをします。また、広告文は様々なパターンを作ることができますので、「3ヶ月保証付き、完全クリーニング済み特選中古パソコン」
といったメンテナンス面を訴求したり、
「倒産企業放出品・大量入荷!使用期間6ヶ月以内の超美品多数、売り切れ必至、今すぐチェック」といった様々なPRを継続的に行うことができます。広告の切り口を変えたりすることで、心に刺さる広告を目にする可能性が増えるのです。
特にリターケティングは無料の宣伝のようなものです。一般的にテレビCMや雑誌広告などは効果があろうがあるまいが費用が発生します。
しかし、リターケティングは来訪につながらない限り費用が発生しません。ということで、切り口を変えたり、コピーを変えたり、デザインを変えたりしながらどんどんユーザーを追います。 - 表示されている様々な広告がユーザーの問題と合致したり、心に響くコピーを見た時などに来訪します。
- 高い確率でコンバージョンにつながります。
このような一連の流れで、コンテンツSEOを起点としてユーザーとの接点を作り、最終的にリターケティング広告で刈り取ることができるのです。
6.最後に
web広告とSEOは、まったく違ったマーケティング手法であるといわれています。
しかし、コンバージョンに至る一連の流れを戦略的に捉えると、切り離すことはできないものだと私は考えています。
統一的な戦略にもとづいてリスティングとSEOは考えられなければならず、連携して実施することで高い効果を生み出すのです。