Webサーバーとは何か?ウェブサイト運営者に必要な基礎知識
「サーバーって何ですか?」
あなたは、こう訊かれたときに明確に答えられますか?
ウェブサイトを運営していて実際にサーバーをレンタルしていても、意外に答えられない人が多いのではないでしょうか。
ウェブサイトをただ運用するだけなら、この問いに答えられなくてもなんとかなります。
それは、車の運転にエンジンの知識が必要ないことと似ています。運転方法さえわかっていれば車は運転できるので、エンジンの燃焼システムは理解していなくても構いません。
しかし、個人営業のタクシー運転手が車を選ぶ、となるとどうでしょうか。
この場合、どんな車でも良いというわけにはいきません。
車のことをある程度知ったうえで、燃費や乗り心地、整備性などを考慮して車を選ぶ必要が出てきます。
我々ウェブサイト運営者も同じように、サーバーとは何なのかを最低限知り、運営するウェブサイトに合わせたサーバーを選択する必要があります。また職業ドライバーがスペアタイヤの取り付けくらいはできるべきであるように、ウェブサイト運営者も最低限のサーバートラブルの対処はできた方が良いでしょう。
この記事では、エンジニアではないウェブサイト運営者を対象に、「サーバーとは大体こんなもの」という概要をなるべくわかりやすくかみ砕いて説明します。
サーバーの基礎的な知識を持っておくことは、ウェブサイトの運営を継続する中で少なからず役に立ちます。まずは概要を理解して、徐々に深い知識を学んでいきましょう。
1.ネットワークとは何か
サーバーとは何かを理解する前に、まず「ネットワーク」について少し学びましょう。
ネットワークとは何でしょうか。
ネットワーク 【 network 】
ネットワークとは、網という意味の英単語。複数の要素が互いに接続された網状の構造体のこと。
IT用語辞典より引用
ITでいうネットワークとは、端末と端末が通信で繋がっている状態のことです。
たとえばインターネットは、パソコンやスマートフォンなどの端末がウェブを通して網状に繋がっていますね。つまりインターネットとは、世界中に張り巡らされた巨大なコンピューターネットワークだといえます。
このように、複数の端末が通信回線で繋がっていて通信ができる状態のことを、「ネットワーク」といいます。
そして、サーバーはネットワーク上に存在しています。
2.サーバーとクライアント
それではサーバーの説明に入っていきます。
例として、下画像のようなパソコンAとパソコンBについて考えていきましょう。
パソコンAとパソコンBという2台のパソコンはLANケーブルで繋がっていて、互いに情報の通信ができます。
インターネットのように複雑に繋がっているわけではありませんが、複数の端末が接続されていて通信できるので、これも極めて単純なネットワークであるといえます。
さて、あるユーザーが「パソコンAを使ってパソコンB内のファイルを見る」という操作をしたとします。
このとき、パソコンAとパソコンBの間には、「サーバー」と「クライアント」という役割が発生します。
「サーバー」と「クライアント」、それぞれの定義をみてみましょう。
サーバ 【 server 】
サーバとは、コンピュータネットワークにおいて、他のコンピュータに対し、自身の持っている機能やサービス、データなどを提供するコンピュータのこと。また、そのような機能を持ったソフトウェア。
IT用語辞典より引用
クライアント 【 client 】
ITの分野では、他のコンピュータやソフトウェアから機能や情報の提供を受けるコンピュータやソフトウェアのことをクライアントという。提供する側のコンピュータやソフトウェアを「サーバ」(server)と呼び、サーバとクライアントで構成されるシステムを「クライアントサーバシステム」(CSS:Client Server System)という。
IT用語辞典より引用
簡単に述べると、以下のようになります。
- 何かを提供する=serve(サーブ)するもの:サーバー
- 顧客=client(クライアント)のように提供を受けるもの:クライアント
つまり、先ほどのパソコンABの例でいくと、ファイル=情報を提供したパソコンBがサーバー、情報を提供されたパソコンAがクライアントということになりますね。
インターネット上の通信も、システムがより複雑になっているだけで、基本的にはこれと同じです。
今、このサイトを見ているあなたのパソコンやスマートフォンは、このサイトの情報が格納された「サーバー」から情報の提供を受けている「クライアント」です。
クライアントであるあなたの端末が「なんでものびるWEBのこのページを表示したい」というリクエストを出し、サーバーがそれに応答して、このページを表示させる情報をserve(=提供)したわけです。
3.サーバーとは何か
では、端的にいって、サーバーとは何なのでしょう?
「ネットワークを通じて他の端末に情報等を提供するコンピューター」
これがサーバーです。
普通のパソコンでも、外部に提供するための情報を入れて、それを外部に見せるためのプログラムを組み込めばサーバーになります。
実際、自宅や職場のパソコンに「Linux」や「Windows Server」といったサーバー用のOSをインストールして、サーバーとして稼働させている人もいます。
もちろん、それは簡単なことではありません。
「グローバルIP」というマイナンバーのようなものを取得したり、それを管理する「DNSサーバー」を設置したり、セキュリティーを考慮したりと、サーバー運用にはさまざまな知識が必要になります。
しかしサーバーにするコンピューター自体は、必ずしも特別なものでなくてもいいのです。
サーバーと聞くと、スーパーコンピューターのように大掛かりな装置を想像する人が多いようです。
これは、一般的なインターネット上のサーバーの多くが、普通のパソコンではないからでしょう。ネット上のサーバーの多くは大がかりなコンピューター装置であり、専用に設計されたものです。これは、多くのデータを格納する必要があり、不特定多数からのアクセスも想定しているからです。
サーバーとは大がかりなもの、特別なもの、という印象はここからきているようです。
しかし、先ほどのパソコンBも、一般的な大がかりなコンピューター装置も、「ネットワークを通じて他の端末に情報等を提供するコンピューター」であることに違いはありません。
どちらも同じくサーバーであるといえます。
4.ウェブサイト運営者に関係する2種類のサーバー
サーバーと名の付くものはいろいろとありますが、ウェブサイト運営者に関係するものを2つ紹介しておきましょう。
- レンタルサーバー
- クラウドサーバー
4-1.レンタルサーバー
サーバー管理会社が管理している、貸し出し用のサーバーです。
ウェブサイトを運営する際、多くの場合はレンタルサーバーを利用するでしょう。自前でサーバーを建てるよりもコスト面で優れており、管理の手間も削減できます。
レンタルサーバーには、専用サーバーと共用サーバーの2種類があります。
専用サーバー
1つのサーバーを1人の利用者で専用使用するものです。
一般的に、料金が高いかわりに処理速度が速く、データ容量も多いことが特徴です。
共用サーバー
1つのサーバーを複数の利用者で共用使用するものです。
サーバーの性能を分け合って使うので、専用サーバーと比較すると、処理速度やデータ容量などのスペック面で劣ります。しかし、その分料金が安く抑えられています。
4-2.クラウドサーバー
クラウドサーバーとは物理的な実態を持たないサーバーであり、仮想サーバーとも呼ばれています。
クラウドサーバーや仮想サーバーという呼び名の解釈には幅がありますが、さしあたり、両者は「同じようなもの」と考えて問題ありません。
クラウドサーバーや仮想サーバーには、目に見える形での実態がありません。
簡単にいうと、「高性能なサーバーの中にインストールされた、疑似的に独立したサーバーとして稼働するプログラム」、これがクラウドサーバーです。
クラウドサーバーは疑似的に専用サーバーのような仕様を作り出すため、低コストで専用サーバーと似たような環境を得ることができます。サーバーの仕様をある程度独自に構築したい、ウェブサイトの成長に応じてサーバーのスペックを手軽に増強したい、というようなときに便利です。
5.まとめ
最後におさらいしておきましょう。
サーバーとは、「ネットワークを通じて他の端末に情報等を提供するコンピューター」のことです。
ウェブサイトを運営するサーバーは、インターネットを通して他の端末=世界中のパソコンやスマートフォンなどに、情報を提供しています。
この仕組みのおかげで、私たちは世界中のウェブサイトを閲覧できるのです。
ウェブサイトのデータはサーバーに置かれています。
サーバーの基礎を知ることは、より良いウェブサイトを構築する上で必ず役に立ちます。
技術寄りの内容なので難しい面もありますが、少しずつサーバーへの理解を深めていくと良いでしょう。
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