SEOコンサルタントの選び方〜大切なサイトを潰さないためのチェック方法〜
1.はじめに
私自身もSEOコンサルタントを名乗っているのですが、正直この肩書があまり好きではありません。
正直、他人が名乗る「コンサルタント」という肩書を最初からは信用しません。
コンサルタントというとその道のプロフェッショナルといった雰囲気があります。
しかし、資格も経験も知識もなくても名乗れるのがこの名称です。
極端な話、全く未経験であっても名刺を印刷すれば今日からあなたもコンサルタントの仲間入りです。
コンサルタントという言葉から感じ取られる一種のうさんくさい雰囲気はそれが原因だと思うのです。
大した経験もないのに口だけうまい人が経験のなさを隠すためにこのような肩書を名乗っているのではないか?と私は疑っているのです。
信用できない理由は、もう一つあります。
コンサルタントはアドバイスをします。しかし、その結果うまく行こうがいくまいがまったく関知しません。
アドバイスに従った結果、会社の経営が傾いたり、倒産したりしてもコンサルタントは責任を負わないのが普通です。
失敗しても報酬だけはちゃんともらう。そのような一種の無責任さがこの肩書には秘められているのです。
こんな二つの理由があって、私はコンサルタントという肩書が好きではないのです。
2.SEOコンサルタントの実態
SEOそのものがとらえどころがなく、実態がつかみにくいものです。
確かな正解があるわけでもなく、実施内容がプラスに働いたかどうかなんかはわかりません。
「これをやれば確実に順位や集客力が上がる」といった方法があるわけではありません。
つまり、SEOコンサルタントの力量を測る客観的な指標などないのです。
2−1.多くのSEOコンサルタントは単なる営業担当者である
SEOという形のない不確実なものを売るにあたって、営業する側はクライアントを信用させる必要があります。
「私を信用してくれれば間違いありません」
と言わねばならず、さらにその言葉を信用させねばなりません。
そのため「営業担当」と書くよりも「SEOコンサルタント」と書いたほうが都合がいいのです。
その結果、コンサルタントとは名ばかりの営業担当者が多くなっているのが現実です。
2−2.本物のSEOコンサルタントはとても少ない
実は、SEOの確かな技術、見識を持った担当者は非常に少ないのが現実です。
SEOはある種の感性のようなものが重要になりますが、これがなかなか身につかないのです。
確かにSEOのきちんとした書籍も出版されており、熟読すれば知識としては学ぶことができます。しかし、SEOを実践するには、単なる知識として知っているだけでは足りません。
SEOを実施するにあたっては予算、人員、コンテンツ管理システムの機能制限、といった様々な制約条件が必ずつきまといます。
その兼ね合いの中で何を優先的に実施するべきか。これを決定するには、SEOだけではない様々な周辺知識が必要になり非常に難しいのです。
また、順位が下落したり検索エンジン経由での来訪が激減するという状況はよくあります。
この困難な状況を打開する策を発見することは、暗路のはるか先の星明かりほどの微かな光明を見出す仕事です。そのため、豊富な経験の裏打ちがものを言うのです。
上記以外にも多数ありますが、この種のアドバイスを的確に行うことはまさしくSEOコンサルタントという職務の真骨頂と言えるでしょう。
しかし、このようなことができるSEOコンサルタントは非常に少ないのが現実です。
2−3.偽物は本物のふりをするのが上手である
偽物はいかにも本物のような衣装をまとうのが特徴です。
いかにも権威のありそうな肩書を並べてみたり、書籍を出版したりしています。
書籍を出版していても偽物であることはよくあることです。
ここでは名前を挙げることはできませんが、某出版社の書籍は偽物のSEOコンサルタントの巣窟といった状況になっています。
3.偽物のSEOコンサルタントに依頼するとどうなるか
3−1.Webサイトの集客力が壊滅的に落ちる
SEOにおいて、これをやったら順位が上がるという絶対の正解はまずありません。(titleにキーワードが入っていないのできちんと入れる、といったごくわかりやすい例は除きます。)
しかし、正解に見える不正解は無数にあります。
そして実施が簡単な安易な対策は不正解であることがほとんどです。
レベルの低いコンサルタントは安易に実施ができる不正解の道を取りたがります。
不正解を積み重ねることによって、逆に順位が大幅に下がったり検索エンジン経由での集客が全くなくなってしまうこともあります。
経営コンサルタントといった人の助言に素直に従ったばかりに、会社が傾くといったことは珍しくないというのは、よく知られたところです。
SEOコンサルタントも同じで、間違った助言に従って不利益を被るのは自分自身なのです。
3−2.何もしないのに報酬だけ取ろうとする
検索順位は何もしなくても上がったり下がったりするものです。
なにもしなくても、上がった時には報酬を取ろうとする「SEOコンサルタント」も少ないながら存在します。
またWebサイトの運営担当者が頑張っていれば、SEOコンサルタントが何もしなくても長期的には検索順位は必ず上昇していきます。
その手柄を横取りして「私が頑張ったので」と言ってのけるかも知れません。
4.本物のSEOコンサルタントと偽物を見分けるには
4−1.話がわかりやすいか
自分の知識に自信がない時に、人間は難しい専門用語を並べ立ててごまかそうとするものです。
特にSEOの知識を覚えたてであるほど、難しい言葉を使いたがる傾向があります。
もう一つ、話が難しくなる理由は専門用語を使って話さないと、相手から専門家だと信じてもらえないと勘違いしているケースです。
自分の能力に自信があれば、こんなことは全く考えないはずです。
言い換えてみます。話がわかりにくいということはよくわかっていないという証拠です。
その逆に非常にわかりやすく説明してくれるコンサルタントもいます。
難しいことを簡単にわかりやすく話すには、深い理解がないとできないことです。
話がわかりやすいコンサルタントというのは、それだけでかなりレベルが高いという可能性があります。
あるいはクライアントから質問をされた時に回答がわからないので、専門用語で煙に巻いてごまかそうとしているのかもしれませんね。
私が知る限りですが、一流のSEOコンサルタントは分からない質問をされた時は、
「それはわからないですね」
とはっきり言います。その言葉の背景には「この質問に正しく答えられる人は存在しない」という確信があるからです。
自分に自信がなければ「この質問に答えられなければ、コンサルタントとしての力量を疑われるのではないか?」と不安になるはずなのです。
いずれにせよ、わかりやすく説明できないコンサルタントは能力があやしいということです。
4−2.上位表示の実績ばかりを主張していないか
SEO会社の営業担当者がコンサルタントを名乗っている場合、他に何もセールスポイントがないのでこればかりを強調する傾向があります。
しかも、上位表示の実績というものはいくらでも嘘をつくことができ、その嘘を見破ることは困難です。
「美容整形って超ビッグキーワードで3位になりました。」
という嘘を客観的に嘘だと立証することは、3位になっているサイトの運営者に「どこのSEO業者を使ってますか?」と聞いてみなければわかりません。
普通は聞いても教えてはくれないので、結局は分かり得ないということになります。
4−3.上位表示されているサイトとされていないサイトの違いを説明させる
力量を調べるために「自社のWebサイトで狙っているキーワードで上位表示している数サイトと、自社サイトの違いを説明してもらう」ということをしてみてもよいでしょう。
(できれば、ポータルサイトみたいなものではなく、自社と規模が近いサイトがいいです。)
営業担当者がコンサルタントを名乗っていたとしたら慌てふためくはずです。
これが説明できなければ、上位表示はおぼつかない可能性が高いのです。
そのコンサルタントが単なる営業担当者だった場合、自社サイトとの比較はすでに予習してきて勉強してあるだけかもしれません。
自社のターゲットとは違ったキーワードをその場で提示して、分析してもらうとさらによいでしょう。
4−4.SEOの実務に携わっている年数を尋ねてみる
SEOは知識としては理解できても、実戦に応用するためには経験が必要になります。成功・失敗を経て知識を血肉に変えていくのです。
そのためには少なくとも3年以上は経験が必要だと私は考えてます。
4−5.社名で検索してみて評判を調べてみる
そのコンサルタント自身の評判はわからないかもしれませんが、ネットで調べてそのコンサルタントが所属している会社の評判を調べてみるのは一つの方法です。
会社の評判が良くない場合は会社の体質が悪い可能性が高い。
中で働いているコンサルタントが悪いとは限りませんが、そのような会社に所属するコンサルタントに依頼するのは避けたほうが無難です。
コンサルタント自身の能力やモラルはすごく高いのに、会社の営業方針があまりに利益至上主義であるような場合もあります。
そんな場合はコンサルタントが有能であっても、能力を発揮してもらえないのが普通です。
4−6.SEOの同業者に評判を聞いてみる
CSS Niteといったイベント後の飲み会、あとはSEO担当者やWebマーケターが集まるような飲み会は情報の宝庫です。超一流といえるコンサルタントからアドバイスがもらえたりします。このような場で、おすすめのコンサルタントを紹介してもらうっていうのはありでしょう。
SEOの業界人は結構横のつながりがあって、
「ああ、そのような案件なら◯◯さんがすごく詳しいよ」
というように、気さくに教えてくれたりします。
そんな飲み会の場で質問をして、
「それだったら僕がやるよ。」
というコンサルタントもいるかもしれません。
ただ、その場合は「僕がやるよ」のニュアンスを推測せねばなりません。
「困っているんだったら助けてあげたいな」あるいは「ワクワクするような案件だな、これは燃えるわ」と思っているのか「お、営業のチャンス!」って思っているのかを見極めないとなりません。
一流のSEOコンサルタントはたいてい仕事が忙しく、新規の案件を請ける余裕があまりないのが普通です。
営業のチャンスと思っているコンサルタントであれば恐らくは大したコンサルタントではないのでしょう。
(もちろん、たまたま大きな案件が終了したタイミングで時間に余裕があるという場合もありますが。)
まず、忙しいかどうか?を色々世間話をしながら聞いてみましょう。
暇だというコンサルタントであれば見送ったほうが無難です。営業っぽい雰囲気を出してくるコンサルタントも敬遠しましょう。
5.終わりに
本物と偽物を見分けることは、なかなか難しいです。
納得がいくまで説明を求めましょう。
そして、重要なことがひとつあります。
それは「ちょっとした違和感」です。
これを感じたら、騙されているかもしれません。
痛いところを付かれると人間は何らかのリアクションをするものです。急に饒舌になったり、たじろいだり、専門用語を連発するようになったりします。
信じたいという気持ちがそれを打ち消そうとするかもしれませんが、この種の直感はとても重要です。
違和感を感じたら、そのコンサルタントに依頼するのは避けたほうが懸命だと私は考えます。