リンクはどのようにページ評価・検索順位に影響を及ぼすか
今回の記事はかなり専門的な内容なので、SEOを詳しく学びたいという方には是非おすすめしたいと思います。
これはGoogleの順位計算の核心に当たる部分なので、学ぶことによってGoogleは、個々のページをどのように評価しているのか?を知ることに大いに役に立つはずです。でも、ここまでの知識は普通は必要ありません。一般のWebマスターの方にとっては、
SEOで勝つための60分で理解するGoogleのアルゴリズムの基本知識
この記事の第2章「外部要因を評価するアルゴリズム」をご覧いただけば充分です。
1.リンクを評価する意味
Googleはページの内部だけではなく、そのページを取り巻く状況を加味して順位を計算しています。
それまで多くの検索エンジンがある中で、比較的後発のGoogleがどうしてこんなに高い評価を勝ち得たのか?それは、リンクを検索順位の指標に取り入れたことが、画期的な検索精度の高さにつながったからなのです。
論文の価値を判断する際には、どれだけ他の論文から引用されているかが一つの大きな指標となるといわれています。多くの論文から引用されている論文は価値のある論文であるだろうという判断です。
Googleは、これと同じように他のページから多く紹介されているページ(リンクされているページ)は価値が高いページであろう考えて、リンクを加味して順位計算を行いました。
膨大なコンピューターの処理能力を必要としましたが、ページの内部だけを判断して順位計算を行った場合よりも、はるかにユーザーにとって有用な検索結果が得られました。
他のどのページからどのようにリンクされているかを順位計算の大きな指標にしているのです。
リンクの様子を表現したものが上の図です。中央のページは他の4つのページからリンクされています。
これによって中央のページの評価が高まるわけなのです。
リンクされると評価が高まるということですが、どのようにGoogleはリンクを評価しているのでしょうか。ただ単にリンクされていればいいというわけでしょうか。リンクには高い評価のリンクと低い評価のリンクがあり一緒ではないのです。
2.リンクが評価される4つの要素
リンクは前述のような理由によって、ページの価値を測る大きな指標となっています。
リンクの評価には以下の4つの要因があります。
2−1.PageRank(ペイジランク)
Googleが記憶しているすべてのページはすべてGoogleからの個別の評価を持っており、これをPageRankといいます。
他のページからリンクされている数、そしてリンクしているページの質がPageRankに影響するのです。
リンクによって検索順位が変わるということの最大の意味がこれです。
評価は0〜10まであります。Googleが認識していないページもしくは検索結果から削除したページは0ではなくて「なし」になります。2013年まではPageRankをGoogleは公表していました。
このようなツールを使うと、個々のページのPageRankを知ることができました。
本来は日々、刻々と様々なページのPageRankが更新されているのですが、ユーザーには不定期ではあるものの更新された情報が提供されていたのです。しかし、2013年12月の更新を最後に2016年の現在に至るまで全く更新されていません。
現在はPageRankがどうなのか知るすべはありませんが、このような評価によって検索順位に影響があることはアルゴリズムの中で重要な要素です。
ちなみに、更新されていないものの最終の更新データから有名サイトのPageRankを紹介しましょう。
- PageRank10
http://twitter.com Twitter - PageRank9
http://www.google.com Google
http://www.facebook.com Facebook - PageRank8
http://www.yahoo.co.jp Yahoo!Japan
http://www.keio.ac.jp/index-jp.html 慶応大学 - PageRank7
http://www.u-tokyo.ac.jp/index_j.html 東京大学
http://www.rakuten.co.jp/ 楽天
といった感じです。
PageRankが1違うと評価は6倍違うともいわれています。
PageRankが2違うと36倍も評価が違うということです。ごくごく普通の企業が運営しているWebサイトのPageRankはだいたい2〜4ぐらいです。上記のようなWebサイトに対してGoogleからの評価が非常に高いことがお分かりいただけるでしょう。
2−1−1.PageRankはどのようにして決まるのか
2−1−1−1.どのページからどれだけリンクされているのか
ザックリいうと、前述の仮定が正しいならばPageRankが1のページから6本のリンクを得るのと、PageRank2のページから1本のリンクを得るのとでは同じ価値があります。どのようなページからどれだけリンクを得られたかによってPageRankは決定されます。
「PageRankを上げるためには、できるだけ評価の高いページから、できるだけ多くリンクをしてもらえ」
という結論が導かれます。
2016年現在において、PageRankは順位計算においてそれほど大きな要因ではないのですが、PageRankを高めることは依然として重要です。
PageRankを高めるためにはどうするか?
役に立つ・面白いコンテンツを作ることはとても重要なのですが、これはあくまで前提にしか過ぎません。
コンテンツができたら、ソーシャルネットワークを(FacebookやTwitterなど)を使って紹介するのが現代のSEOです。良いコンテンツであれば、様々な人がリンクを張ってくれて紹介してくれるでしょう。
現代のSEOにおいてソーシャルネットワークの運用は必須だといえるのですが、このような理由によるものです。
でも、他の人がリンクを張ってくれるかどうかは不確実です。たった一つ、PageRankという概念を知っていると順位上昇に寄与する確実な手法があります。
これは自分のWebサイトの中で行うものです。
「検索上位に表示させたいページは、トップページからリンクをしろ」
ということです。
出来る限りPageRankの高いページからリンクをしてもらうのが良いと書きました。
ほどんどの場合、WebサイトのPageRankはトップページが一番高いです。
だからトップページからリンクをするのです。
2−1−1−2.リンクジュース
リンクがあるページの価値、PageRankの数値的な評価が1,000だったとしましょう。
このページに10箇所、他のページヘのリンクがあったとします。
そうすると、単純計算で1,000÷10で、一つ一つのリンクから他のページヘ100の評価がわたります。
もし、100箇所リンクがあれば同様に10の評価がわたるといえます。
このようにリンクを介して他のページにわたる評価をリンクジュースといいます。
リンクジュースを多く渡すためにうんぬん・・・といった文脈で使います、
リンクジュースをたくさん受けているページがPageRankが上がるのです。
先ほど単純計算でと書きましたが、リンクジュースは全てのリンクに対して均等に行き渡るわけではありません。
Googleが見て重要そうなページヘのリンクにはより多くのリンクジュースを配分します。
重要そうなリンクとは、クリックされる確率の高そうなリンクだと考えられており、クリック確率をシミュレートして配分を決めているといわれています。
大きなバナーでリンクされている、本文中からリンクされている、ページの上部からリンクされているといったリンクには、多くのリンクジュースが配分されるのです。
簡単な言葉で言い換えると、
「ユーザーが多くクリックするであろうリンクに多くの価値を渡す」
ということです。
極端な話、10箇所リンクがあったとして、リンクジュースの配分が991、1、1、1、1、1、1、1、1、1といった配分になることもありえます。そして、どのような配分でリンクジュースが配分されたのは、誰にもわかりません。
2−1−1−3.リンクスカルプティング
2009年頃までは有効だったリンクスカルプティングというSEOのテクニックがあります。
rel=”nofollow”という指示をリンクに入れることで、リンクの配分を変えるというテクニックです。
nofollowの使用例) <a href=”signin.php” rel=”nofollow”>sign in</a>
リンクが10箇所あった場合に、9箇所にこのような指定をすることで、1箇所にリンクジュースを集中させることができました。
しかし、現在ではrel=”nofollow”を指定されたリンクにも、リンクジュースが配分されます。しかし、リンク先のページにリンクジュースは渡されず廃棄される仕様となっています(2016年1月現在)。
Webサイト内部でrel=”nofollow”をつけると、リンク先のページの検索順位に寄与しなくなるのでもったいないのです。検索結果に表示される必要がないページに対して使うようにするべきなのです。
詳しくはGoogle社の公式文書特定のリンクに対して rel=”nofollow” を使用するをご覧いだだければと思います。
2−1−1−4.リンクをしてもページの評価は下がらない
SEOの情報の中でこの間違いは大変多く見られるので、きっちり書いておきたいと思います。
リンクをするとPageRankが外部のページに流出するため、なるべくリンクはしないほうがいいという記述がなされている情報があります。これは大間違いです。リンクをしようがしまいがPageRankは変わりません。PageRankに応じた評価が、外部のページに行き渡るということなのです。
2−2.アンカーテキスト
2−2−1.アンカーテキストとは
アンカーテキストとはこのようにリンクされているところの文字です。
このような文字はGoogleがリンク先のページを評価する上でとても重要です。文字ではなくて画像でリンクしている場合はalt属性の中に入っている文字がアンカーテキストになります。
検索エンジンはなるべく人間と同じような観点から、それぞれのページに書かれているテーマや価値を把握しようとします。人間はアンカーテキストを見て、リンクされている先のページに何が書かれているのかを把握してクリック、あるいはタップします。つまり、アンカーテキストとは、
「そのリンク先のページに何が書かれているかを一言で表現したもの」
といえるわけです。
だから、リンク先のページについて、検索順位が上がって欲しいキーワードをアンカーテキストに含んでやると、順位が上ががるのです(必ずではないですが)。
具体的にいえば「Topへ戻る」といったアンカーテキストを使うことを避け、「SEO情報TOP」といったアンカーテキストにした方がいいのです。これは最も基本的かつ最も重要なSEOのテクニックです。
上記の例であれば、リンク先のページについて「SEO」「SEO 記事」といったキーワードでの検索順位の向上に寄与します。
2−2−2.文字とalt属性でリンクした場合の評価の違い
alt属性の中のアンカーテキストは文字でリンクされている場合に比べると、検索エンジンからの評価は低くなります。alt属性はSEOスパムに悪用されてきた歴史があります。
検索エンジンに画像の内容がわからないのをいいことに、画像の内容と全く関係ない様々なキーワードを埋め込んで検索結果に表示させるようにスパマーが悪用してきたわけです。
ユーザーには見せないで、検索エンジンにだけ文字を見せるSEOスパム手法を隠しテキストといいます。典型的な例としては黒い背景に黒い文字で書くといった手法です。このような典型的なSEOスパム手法を検索エンジンは見抜くことができます。
しかし、画像が表現する内容について現時点においても検索エンジンは認識することができません。そのため、alt属性に画像と全く関係ない検索キーワードを埋め込むSEOスパムについて、検索エンジンはスパムであるか否かを判定できないのです。
それゆえに、検索エンジンはalt属性の文字についてかなり控えめに評価をせざるを得ないのです。
2−2−3.アンカーテキストは過剰に意識してはいけない
SEOのために過剰にアンカーテキストに対象キーワードを埋め込むといったことをすると、ユーザーが見て不自然なリンクになります。
例えばこういうリンクです。
佐倉市自転車屋NNサイクリングTOPへ戻る
「佐倉市 自転車屋」というキーワードで上位表示させたいと考えると、こんなアンカーテキストにしてしまうことがあります。これはSEOを覚え始めた人が陥りがちな大きな落とし穴です。
ただ単にトップに戻るためのリンクがこんなリンクだったら不自然ですよね。
人間が見て不自然と思うような施策は検索エンジンからも不自然に見えます。この種の不自然な対策はSEOにとってもマイナスに働く可能性が高いと覚えておいてください。
たった1本のリンクだけで悪影響が出ることはまずありませんが、この種の不自然な対策は積み重なると悪影響が出る可能性が高いのです。
2−3.コンテンツマッチ
リンク元ページとリンク先ページの関連性をコンテンツマッチといいます。
ページAの中で扱っているテーマがSEOの話題だったとします。ページAにリンクしているページBの中で扱っているテーマがSEOの話題であったとすると、コンテンツの合致度が非常に高いといえます。このような場合、ページAに対してページBのリンクによって「SEO」というキーワードでの検索順位に大きな良い影響があります。
その逆にページBの中のテーマがカレーライスの作り方であれば、コンテンツの合致度がほぼゼロであるため、ページBによって、「SEO」というキーワードでの順位での影響は非常に小さいものになります。
2−4.人工リンク・自然リンクの区分
リンクが増えることで順位が上がることを悪用して自分で別のWebサイトを作り、そこからリンクすることで順位を上げようとする行為が横行し続けています。
これは昔からGoogleが禁止している事項です。Googleはこれまでこの種の検索順位を不当に操作しようとする行為を検出するために非常に多くの労力を費やしてきました。
検索順位を不当に操作しようとするリンクを「人工リンク」。
普通のリンク先にユーザーを誘導しようとするリンクを「自然リンク(オーガニックリンク)」。
この2つをかなり正確にGoogleは選別しています。2014年以降、人工リンクによって検索順位を上げることはほぼ無理といえる状況になりました。順位が上がらないだけではなく、むしろ積極的にペナルティを課し順位を大きく下落させることが多くなっています。
これをリンクペナルティといい、一度このような状態になると検索結果からの集客はほぼ見込めなくなります。このように順位を上げることを狙ってリンクを行うということはリスクが大きく、かつ順位が上がる可能性も少ないので行わなってはなりません。
3.評価されるリンクを作るための注意点
3−1.JavaScriptによるリンクは評価が上がりにくい
以前はJavaScriptによるリンクはGoogleがリンクとして認識できないことが良くありました。
現在はほとんどのリンクを認識できるようになっていますが、それでも確実なものではありません。検索順位が重要なページヘのリンクはHTMLでリンクした方がよいのです。
3−2.人工リンクと勘違いされないようにする
前述のように上位表示を狙うために不自然なアンカーテキストにしないようにしましょう。
3−3.リンクの数を適正に抑える
あまり多すぎるリンクは個々のリンクへのリンクジュースが少なくなるという問題もあります。
それだけではなく、リンク先が多くなりすぎると、Googleが巡回できないリンク先が生じてしまう可能性があります。巡回できないリンク先のページは当然検索結果に表示されません。
4.終わりに
今回の記事は専門的な内容にだったため非常に難しかったかと思います。
わからなければ無理に覚える必要はありません。SEOについては時々立ち止まって考えてみることで、いつの間にかわかるようになっていることがよくあります。
その時にでもまた読み返していただければすんなりと理解できるかもしれません。