企画・制作・システム開発・PR・運用までワンストップサービス

Google Dance Tokyoを見物してきたのでレポートしてみるよ

作成日:2016.05.26

最終更新日:2016.05.28

カテゴリー:SEO

  • twitter
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

そもそもGoogle Danceとはなんぞや?

Googleからの公式発表はこうである。

Google Dance は、2002 年から 2008 年まで米国の Google 本社で毎年開催されていた、検索などオンラインマーケティングの担当者を対象としたソーシャルイベントです。今年 3 月、8 年ぶりに Google 本社で開催されたことをきっかけに、今回東京で、より深く検索について語り合う機会を持ちたいと思い、Google Dance Tokyo を開催することになりました。

Google Dance“とは昔からSEOをやっている人の間ではよく知られているSEOのスラングである。

同じタイミングに検索した場合でも検索リクエストを処理するサーバーによって、検索順位が大きく変わってしまうという現象があると言われている。
検索順位が検索するたびに大きく変動し、Googleがダンスを踊っているかのような挙動をすることから

Google Dance

と言われていたのだ。

Googleはこの種の現象があることを公式に認めることはめったにない。
しかも、このGoogle Danceという言葉は検索順位が不安定である、というGoogleの不完全性を表現した言葉でもある。それをイベントの名称に使ってしまうというGoogleという会社の懐の深さ?が愉快である。

そのイベントが、よりによって日本で開催されるというのがまたまた興味深いものであった。

何をするのか?

事前情報として何をするのか不明であった。
イベントに来訪した中の素行の悪いSEO業者を、真っ赤に焼けた鉄板の上で踊らせるイベントであるという風説もまことしやかに流れていた。

でも、残念ながらそんなことはなくイベントの中身はこんな内容だった。

  1. Googleが情報検索で取り組んでいることの発表
  2. 出席者から事前に集めた質問に対するGoogle社員からの回答
  3. 立食形式での交流会

という内容である。
六本木ヒルズのオフィスに100名様、ご招待、食事付きなのに無料!である。さすが天下のGoogle、太っ腹である。

こんな人が来てました!

私の右隣りに座っていたのがアイレップの渡辺隆弘氏、言うまでもなく日本のSEOの祖であり、この世界の巨人である。
私もSEOを始めたばかりの頃は「検索にガンガンヒットさせるSEOの教科書」を読んで勉強したものである。あの、辻氏の元上司でもあるという・・・。

私の前に座っていたのが鈴木謙一氏、この業界では知らぬものがない海外SEO情報ブログの著者である。

私の近くに座っていなかった方では、

木村賢氏、サイバーエージェント系列のSEO会社、CAテクノロジーの元SEO責任者であり、現在はAmebaの戦略を担っているすごい人。インハウスSEO担当者としておそらく日本でナンバーワンだろう。

木村將氏、日本のGoogle公式Webマスターフォーラムの初代トップコントリビューターであり、システムエンジニアでもありモバイルのSEOの知見ではこの人の右に出る人はいないといわれたすごい人だ。

榊裕次郎氏、たった一人で月間300万PVというとてつもないブログを作り上げた人物。Google Adsenseのトップコントリビューターでもあり、Adsenseでは比類するものがないほどの知識、経験を持っている。元水泳の強化選手であるという異色の経歴でも知られている。

鈴木珠世氏、日本のアフィリエイト界隈では知らない人がいないほどの超有名人。アフィリエイターではなくASP側から企業側をずっと支えてきた、アフィリエイトというビジネスを知り尽くしている人物だ。

辻正浩氏、言わずと知れた辻氏である。SEO業界では神と崇められ、そして火の神と畏れられる辻氏だ。日本の検索トラフィックの数%を日々ウォッチするという修羅の路を往くSEOの軍神である。

三澤直哉氏、楽天からはじまり現在はリクルートでSEOを担当。SEOだけでなく大規模サイトの運営の経験値がずば抜けており、人柄の穏やかさ、イケメンぶりも含めてSEO業界では知らない人がいないほどの有名人である。

安田英久氏、SEO業界のみならず、Webマーケティングに関わっている誰もがお世話になっているWeb担当者Forumの超絶仕切りが名物の編集長である。

他にも有名な人もたくさんいたはずだが、私は会社に引きこもりがちなのであまり知らないだけかもしれない。
出席されていた方で、「なんで俺の名前がないんだ!」と思われる方がいらっしゃると思いますが、気分を害されたらすいません。

ちなみに50音順である。

その他、SEOの業界人などたくさんたくさん来ており、とてもとても楽しかった。

内容について語ってみる

Googleが取り組んでいること

これについては「Google Dance Tokyoに行ってきました!!」に書いてあるので、こちらご覧ください。

出席者から事前に集めた質問に対するGoogle社員からの回答

Aに関しては私の記憶と、補足がとても多く入り混じおりますことご注意下さいませ。

Q1.検索結果のランキング、順位付けにおいて今後重視していく点は何か?

これには直接は答えてはいなかったが、品質評価ガイドラインにGoogleはどのように考えているかを記しているので、それを参考にして欲しいということだった。アイレップさんがご丁寧な日本語訳を作っているのでご覧頂きたい。

追加質問: 順位付けにおいて3番目に大事なのがRankBrainと言っていたが、1番目と2番目は何か?

「状況に応じて変わる」

としか答えてなかった。まあ、そりゃあそうだろうなあとしか言いようがない。そしてRankBrainが3番目っていう意味は結局わからず・・・。

Q2.AMP対応を行わないと企業のWebサイトのSEOに影響があるか?

「現時点においてはAMPはニュースと、レシピ以外には対応していないのでSEO観点においては影響はない。しかし、AMPはGoogleだけの取り組みではなく、もっとオープンな仕組みでありSEOだけの問題ではない。また、高速なWebサイトをユーザーは求めているのだから、SEOが関係なくても取り組むべきだろう。」

追加質問:AMPは5年後、10年後も重要であり続けるのか?(渡辺隆弘氏の質問)

「5年後は多分重要だろう。でも10年後はわからない。そもそも10年前にGoogleが現在のようになることを予測できた人は誰もいなかったのと同じこと。」

SEOのオピニオンリーダー渡辺氏の質問であることは特別な重みを持つ。
AMP対応を行うとなると別ページを作る必要が生じる。恒久的な取り組みであるのであれば、あえて工数をかけてAMP対応を行うほうが望ましいが、そうでなければ見送る方がよいだろうか?ということである。

クライアントから「これをやるべきでしょうか?」と聞かれた時に、無責任なことを言ってはいけないのがコンサルタントというものだ。
この問題は、AMP対応という大きな投資をすべきか?という重要な問題に対しどう答えるべきか?という重要な質問である。

やることが望ましいという結論になりそうだ。

Q3.SEO対策への対策はどう進めているのか?

「ガイドラインに違反しているWebサイトに対しては、手動・自動でのペナルティを与えることで対処する」

ということであった。しかし、私としては質問の意図はわかるのだが、そもそも「SEO対策」という言葉自体が、一つの矛盾だと思うし(SEOのOはオプティマイゼーションのOなので、そもそも対策という意味を含むわけである)、この問いはSEOイコールSEOスパムのことを指しているのであれば、そもそも質問者の認識が間違いである。SEOとはこれほど誤解されているということの例だろう。

Q4.Ajaxコンテンツの評価は低くなるのか?

「現在はほとんどのAjaxコンテンツを認識できるようになった。認識できるかぎりにおいてはHTMLのコンテンツと同様に評価するので、AjaxであるかないかはSEO観点においては関係がない。
とはいえ、JavaScriptをrobots.txtでブロックしてしまったり、ユーザーが何かのアクションを起こさないと見ることができないようなコンテンツについてはクローリングできないので要注意。また、無限スクロールのようなアクションが必要になる情報は、情報を読み込むためのURLを用意してやる必要がある。
Ajaxを正常にクローリングできているかどうかは、Fetch as Googleで確認することができる。」

Fetch as Googleを使ってAjaxがきちんと読み込めているか確認するというノウハウは非常に役に立つだろう。
Ajaxの扱いはSEOにおいて、難問の一つであったがクローラーの進歩によって、上記だけを考慮すればよくなったことは大変喜ばしいことだと思う。

Q5. Q6. 割愛されていたためなし

Q7.低品質サイトからのリンクを受けており、外せなくて困っている。自分のサイトに悪影響がないか?

「そんなことを気にする必要はない。しかし、そもそも、この質問が出てきた背景が問題。実はそのリンクは自分が行ったものなのではないか?自分はやっていなくても前任者が被リンクを買っていたといったケースはある。リンクを外せなくて困っているのではなく、外す努力をしていないケースが多い。」

追加質問:スクレイピングサイトからリンクされているのだが、これが原因でペナルティになったりはしないか

「心配はない」

スクレイピングサイトとは他人のサイトを使ってコンテンツをパクって同じページを作るサイトのことである。この種のサイトはおびただしい数あるが、スクレイピングサイトを作る行為そのものがスパムである。その類のサイトを作って被リンクを獲得するという方法はSEOスパマーがすぐ思いつきそうなことなので、心配になる気持ちはわからなくもない。
しかし、Googleはスクレイピングサイトの評価を無効化する処理をうまくやっているので、この種のリンクはほぼ無効化されているため、心配をする必要はないのだ。

Q8.301リダイレクトが使えずメタ情報の編集もできないブログの移転はSEO観点からどうするのが正しいのか?

「canonicalによるページ評価の引き継ぎもできないのであれば、ただ移転するだけしかできない。その際に、新旧ブログが併存することになるが、同一の情報が別ページにあったからといっても、新しいブログのみが更新されていれば、そちらが新しいのだと徐々に認識するようになるし、ペナルティになることはないからそこは心配しないでもよい。」

このあたりはGoogleはそれなりに上手く処理できることが多いようである。
旧ブログの記事を削除し旧ブログのトップに移転先のトップのURLを記載することで、新ブログに旧ブログの被リンクが引き継がれるという事象も観測されている。

参照

移転するのであれば思い切って削除して、移転通知を記載するという方法が吉である。

Q9.titleの書き換えを回避する方法はないか?

「回避する方法はないし、そのような機能を提供するつもりもない。titleの書き換えはユーザーの利便性にとって重要な機能だと考えている。
実際にtitleが正しく記述されていないケースはとても多い。もしmetaタグなどでtitleタグの書き換えを禁止するような機能を提供したりすると、これがもとでtitleの修正ができずユーザーの利便性が低下するといった事態が想定される。」

Q10.近年は検索結果に広告の枠が拡大している。自然検索ではなく広告を使ってPRしてくれということなのだろうか?

「限られたリソースの中で、どちらに注力するかは個々の状況によって異なるだろう。ちなみにGoogle社内では検索チームと、Adwordsチームは完全に分離していて情報共有がなされていない。検索チームからすると、Adwordsの表示が変わったということを誰かのブログ記事を読んで初めて知るという状況である。(ということで、検索チームとしては広告を使って欲しいなんてことは考えてはいない:ここは私が付記)」

追加質問:自然検索と広告のどっちが大切なのか?

「情報を広く届けることがGoogleのミッションである。広告は重要ではあるが、広告を出稿していない情報をユーザーに届けることはできない。そのため自然検索の方が重要であろう。」

私もGoogleは広告より自然検索を大切だと考えていると思う。

グーグル秘録」という本があるが、ちょっと古い本ではあるがこれはGoogleの社内だけではなく、Googleを危険視する人々にも広くインタビューを行って書かれた労作である。
これを読むと、Googleは正しい情報を広い範囲から集めていかにタイムリーに届けるか?ということに心を砕いてきたかがよく分かるだろう。
生半可なSEOの本などよりもはるかにSEOの本質を知ることができる名著なので一読をおすすめしたい。

当然広告はGoogleの収益の柱であるため、おざなりにされることはないだろうが、広告が優先されることはないと私は考えているのである。

立食形式での交流会について

これが実に楽しい。
実はSEOの最大のイベントであるCSS Niteなどでもお酒が入った交流会の方が、セミナーより面白かったりする。

このような機会があったら、また、参加したいしみなさんにも是非参加して欲しい。

一緒にSEOについて熱く語りましょう!

最後に、Google Dance Tokyoで頂いたシャツを着て、会社の入り口で記念写真を撮ってみた。


何かの機会でお会いした際には、お声がけくださいませ。SEOのことを語らせたら一晩でも語るので、一緒にSEOについて語りましょう。

以上、終わります・

pagetop