アンカーテキストは最初にSEOで覚えるべき最重要技術
SEOの勉強を始めた、でも本の分量がありいやになっている方も多くいるでしょう。
また、SEOを勉強しなくてはならないなと思いながらも、面倒でまったく手をつけていないという方も多いのではないでしょうか。
確かにSEOは広くそして深いため、何冊も本が書ける程の領域がある技術ではあります。
しかし、今日では一般的なWebサイトの運営者にとっては、それほど多くの知識は必要ないといえる状況になりました。
Wordpressといった一般的なコンテンツ管理システムを導入すれば、SEOの観点において著しく不利になる状況にはなりにくいからです。
しかし、それでも覚えておかなければ著しく不利になるSEOの技術要素は2つあります。最重要の技術要素がtitleタグ、その次に位置するのがこのアンカーテキストです。
アンカーテキストは技術として非常に重要度が高いのですが、さほど難しいことでもありません。初心者でも理解しやすいといえるでしょう。
ですから、SEOの技術としては一番最初に覚えるべき事柄であるのです。
もうひとつの重要な技術要素「titleタグ」については、「SEOの最重要技術「titleタグ」の設定ガイドライン」を参照してください。
1.アンカーテキストとは?
アンカーテキスト(anchor text)とは下記のようにリンクしている部分のテキストのことです。
具体的にHTMLの例をあげて説明すれば、aタグで囲われた赤字のテキストを指します。
<a href=”https://nandemo-nobiru.com/141/”>SEOとは何か</a>
文字ではなくて画像でリンクしている場合は、alt属性に入っている文字がアンカーテキストになります。
この画像リンクのHTMLの例でいうと、下の赤字の部分がアンカーテキストです。
<a href=”https://ja.wikipedia.org/wiki/タラバガニ/”><img src=”alignnone size-full wp-image-4301″ alt=”タラバガニ” />タラバガニ” /</a>
alt属性に関する詳しい説明は、「軽視されがちだが重要なalt属性の適切な設定とは」を参照してください。
2.アンカーテキストの意味
人間はアンカーテキストを見て、リンクされている先のページに何が書かれているのかを把握してクリック、あるいはタップします。つまり、アンカーテキストとは、「そのリンク先のページに何が書かれているかを一言で表現したもの」といえるわけです。
検索エンジンはなるべく人間と同じような観点から、それぞれのページに書かれているテーマや価値を把握しようとします。
だから、アンカーテキストに検索順位が上がって欲しいキーワードをアンカーテキストに含んでやると、リンク先のページの順位が上がるのです(必ずではないですが)。
3.アンカーテキストの効果
3-1.アンカーテキストの効果の例
有名な例ですが「出口」と検索してみてください。
Yahoo!JAPANが検索1位に表示されますね。
「18歳未満」と検索してみてください。
この場合にもYahoo!JAPANが検索上位に表示されますね。
Yahoo!Japanは「出口」や「18歳未満」というキーワードをGoogleに重要だと認識させるようにしているのでしょうか?
実はアダルトサイトの年齢認証のページに「出口」「18歳未満」というキーワードが使われているからなのです。
「出口」あるいは「18歳未満」というアンカーテキストがついたリンクが、Yahoo!Japanにつけられているからなのです。「出口」というキーワードは検索結果が約9,890万件、「18歳未満」というキーワードは約1,800万件という非常に競合の多いキーワードです。
このようなおびただしい程多数のページの中で上位表示するということから、いかにアンカーテキストが重要であるかということがお分かりいただけるかと思います。
しかし、alt属性の中のアンカーテキストは文字でリンクされている場合に比べると、検索エンジンからの評価は低くなります。
3-2.文字とalt属性における評価の違い
alt属性はSEOスパムに悪用されてきた歴史があります。
検索エンジンに画像の内容がわからないのをいいことに、画像の内容と全く関係ない様々なキーワードを埋め込んで検索結果に表示させるようにスパマーが悪用してきたわけです。
ユーザーには見せないで、検索エンジンにだけ文字を見せるSEOスパム手法を隠しテキストといいます。典型的な例としては黒い背景に黒い文字で書くといった手法です。このような典型的なSEOスパム手法を検索エンジンは見抜くことができます。
しかし、画像が表現する内容について現時点においても検索エンジンは認識することができません。そのため、alt属性に画像と全く関係ない検索キーワードを埋め込むSEOスパムについて、検索エンジンはスパムであるか否かを判定できないのです。
それゆえに、検索エンジンはalt属性の文字についてかなり控えめに評価をせざるを得ないのです。
デザインの兼ね合いから、パソコンの中にある文字を使うのではなく画像を使いたい時があります。
こちらは国立国会図書館のナビゲーションの例です。
「サービス概要」「東京本館」「電子展示会」といった文字は画像となっており、alt属性で同じ文字が表記されています。
まさしく画像を使いたいという例ですね。
でもSEOの観点からできれば避けたいところです。とはいえ、スタイルシートでtext-indent: -9999pxといった指定をして、文字を画面外に飛ばして非表示にするという手法は避けなければなりません。この方法は検索エンジンにだけ文字を見せる隠しテキストではないか?と検索エンジンから疑われる危険があるのです。
下記のような回避策を考えましょう。
- 文字でまとめたデザインにする
- Webフォントを使う(詳しくは「実はすごく簡単!webフォントの使い方&日本語対応webフォントまとめ」を参照のこと)
- 1も2も無理ならalt属性で我慢する
文字でなんとかおさまり良くまとめるのが上策です。Webフォントは費用がかかったり、読み込みが遅くなったりするデメリットがあります。文字でうまくまとめるのが制作会社のデザイン力の見せ所だと私は思います。
4.アンカーテキストの使い方
4-1.抽象的なアンカーテキストを避ける
「Topへ戻る」といった抽象的なアンカーテキストを使うことをできる限り避けましょう。
「SEO情報TOP」といったアンカーテキストにした方がいいのです。これは最も基本的かつ最も重要なSEOのテクニックです。この例であれば、リンク先のページについて「SEO」「SEO 記事」といったキーワードでの検索順位の向上に寄与します。
4-2.不自然にアンカーテキストを埋め込まない
アンカーテキストについて過度に意識してはなりません。
SEOを意識するあまりに過剰にアンカーテキストに対象キーワードを埋め込むと、ユーザーが見て不自然なリンクになります。
不自然なアンカーテキストには以下のように3つの代表的なパターンがあります。
4−2−1.アンカーテキストにキーワードを詰め込みすぎている
アンカーテキストに、むりやりキーワードを詰め込んでしまうケースです。
【例】
訳あり北海道タラバガニ激安通販NNショップTOPへ戻る
「訳あり タラバガニ 激安 通販」というキーワードで上位表示させたいと考えると、こんなアンカーテキストにしてしまうことがあります。これはSEOを覚え始めた人が陥りがちな大きな落とし穴です。
ただ単にトップに戻るだけのリンクが、こんなリンクだったら不自然ですよね。
人間が見て不自然と思うような施策は、検索エンジンからも不自然に見えます。この種の不自然な対策はSEOにとってマイナスに働く可能性が高いと覚えておいてください。
たった一箇所のアンカーテキストだけで悪影響が出ることはまずありませんが、この種の不自然な対策は積み重なると悪影響が出る可能性が高いのです。
4-2-2.リストに繰り返しキーワードを詰め込んでいる
一覧ページのリンクにキーワードをつめ込んでしまうケースです。
【例】
練馬区宅配弁当
杉並区宅配弁当
世田谷区宅配弁当
中野区宅配弁当
練馬区ケータリング
豊島区ケータリング
板橋区ケータリング
中野区ケータリング
SEOをちょっと勉強するとこんなリンクを作りたくなってしまうことは、SEOの大きな落とし穴です。
これは不自然に見えますよね。人間が見て不自然であるものは検索エンジンからみても不自然なのです。
人間が見て自然なのは、次のようなリンクでしょう。
宅配弁当
練馬区
杉並区
世田谷区
中野区
ケータリング
練馬区
豊島区
板橋区
中野区
アンカーテキストに「宅配弁当」「ケータリンク」といったキーワードは入らなくなってしまいますが、それでいいのです。自然なリンクになっている例のHTMLを見てみましょう。
<h3>ケータリング</h3>
<a href=”http://example.com/nerimaku/”>練馬区</a>
<a href=”http://example.com/tosimaku/”>豊島区</a>
<a href=”http://example.com/itabasiku/”>板橋区</a>
<a href=”http://example.com/nakanoku/”>中野区</a>
Googleはhタグの後ろにあるリストを、hタグに全て関連付けるのではないかといわれています。これは人間が見るとそのように見えるからです。
実際はこのようにコーディングした場合に、「練馬区 ケータリング」をアンカーテキストに含めたのと同じ動作をGoogleはするのかはわかりません。しかしながら、2010年にhタグと項目を列挙するliタグを関連付ける特許をGoogleは取得しています。
実装されているかはわかりませんが、Googleはこのように考えているということです。
Googleの動作が「練馬区 ケータリング」をアンカーテキストに含めた場合と違ったとしても、不自然なアンカーテキストを書くよりははるかにましだと考えています。
4-2-3.ページ内すべてのアンカーテキストが同一
トップページに貼られているすべてのリンクのアンカーテキストが「タラバガニ通販」だったとしましょう。
自分のサイト内のリンクだけなら問題は通常はありません。
ページ上部、ページサイド部、ページ下部に設置する主なページヘのリンクは、全ページ共通になるので、全てのアンカーテキストが同じになってしまうことが多く、これは当然あることなのです。
しかし、問題は外部のWebサイトです。
自分が運営していないWebサイトであればアンカーテキストは自然にバラけるはずなのです。
たとえば、こんな感じになるのではないでしょうか。
- いつも買うお店
- ここの社長と一緒に飲みに行った
- 海産物のNNショップ
- http://www.tarabagani-nnshop.co.jp/taraba/
- ここで1kg5000円だった
別のWebサイトにリンクをする場合には、わざわざリンクをする動機があるわけです。その動機はユーザーによって違いますし、言葉づかいも異なるでしょう。そのため同じアンカーテキストになることは少ないはずです。
他のWebサイトなのですから自分でアンカーテキストを決められないので、このような問題は普通は発生しません。しかし、アンカーテキストが偏ってしまう場合は主に2つあります。
- 順位上昇を目的とした別サイトを作り、リンクを張った場合
2011年頃まではこの種の順位表示対策が有効で、「無料ブログで各社員の個人ブログを作って、そこからリンクする」などの検索順位を上げる取り組みをしていた会社も多くありました。
記事の終わりに定型文で、「鮮度バツグン、新鮮なカニを即日空輸します タラバガニ通販 NNショップ」といったテキストを毎回入れていたとしましょう。
するとアンカーテキストが「タラバガニ通販 NNショップ」に著しく偏ってしまいます。 - リンクポリシーを公開している場合
リンクポリシーでアンカーテキストを指定すると、当然アンカーテキストは偏ります。たとえば、以下のような形です。
「当サイトにリンクをする場合は、このHTMLをご利用ください。<a href=””http://www.tarabagani-nn-shop.co.jp/”>タラバガニ通販 NNショップ</a>」
このように、リンクする際のHTMLを指定すると、多くのWebサイトの運営者はこれを使うでしょう。その結果、アンカーテキストが「タラバガニ通販 NNショップ」に偏ってしまうわけです。
特定のアンカーテキストが多くなりすぎて不自然になることを、私たちSEO関係者は「アンカー過剰」などといいます。
アンカー過剰は、もっとも危険な検索順位の下降要因です。
「タラバガニ通販」というキーワードがアンカーテキストに多くなりすぎると、
「タラバガニ」
「通販」
「タラバガニ通販」
といったキーワードが含まれる様々なキーワードで、検索順位が大きく下落するという現象がおきます。
例えば、「タラバガニ 通販 訳あり」「タラバガニ お歳暮 通販」といったキーワードで検索順位が大きく下落するという結果につながります。
5.最後に
検索エンジンは個々のページに対してユーザーが行うような評価を、コンピューターで代替することを究極の目的としています。
アンカーテキストの評価はユーザーが自然に行っている行為をコンピューターで代替したものだといえます。
alt属性は一見して人間とは関係ないように思えるかもしれません。しかし、視覚に障害のある方や、ネットワーク環境が著しく悪い環境ではアンカーテキストと同じような利便性を提供します。
そう考えれば「どのようなアンカーテキストが自然であるか」は自明であろうと思います。ユーザーから見て自然であるアンカーテキストを設定するのが原則です。
「トップに戻る」リンクにアンカーテキストを適切に設定するということは、これに反すると思う方もいらっしゃるかもしれません。それはあくまでSEOの小手先のテクニックにしか過ぎないのではないか?という疑問は当然出てくるでしょう。
しかし、「トップページに戻る」リンクにトップページに何が書かれているのかを明記することは、人間にとっても利便性につながるのです。Webサイトに来訪する人は、トップページから来るとは限りません。
下層の個々のページに検索結果などから直接来訪するユーザーが多く存在します。そのユーザーにとってはトップページに何が書かれているのかはわからないはずです。トップページに書かれている内容を書くほうが親切です。
検索エンジンは結局のところユーザーが判断するのと同じような評価を行おうとするものなのです。
そのようなユーザーへの配慮を細かく行うことが結果としてSEOになるのです。