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【中小企業向け】社内システムのクラウド化は正解か?メリット・デメリットを把握しよう

作成日:2016.07.29

最終更新日:2016.07.29

カテゴリー:Tips

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近年、社内システム構築にクラウドコンピューティングを活用する企業が増えてきました。

クラウドコンピューティングとは、「場所やデバイスを問わずにネットワークを介してサービスを利用できること」です。
初期投資額が少なく導入が容易であるため、中小企業でも業務支援や人事管理などの社内システムをクラウド移行するケースが散見されます。

しかし実際に使用していても、その意義や機能がよくわかっていない、という人は意外に多いものです。

この記事では、まず「クラウドとは何か」を明確にし、企業がクラウドサービスを活用することのメリットとデメリットを紹介していきます。
クラウドは非常に便利ですが、万能ではありません。システムのクラウド化が有益であるケースは多々ありますが、そうでないケースも存在します。
システムのクラウド化を検討するのであれば、まずは当記事でメリットとデメリットを把握し、自社ビジネス適しているかどうかを見極めてください。

1.クラウドとは何か

1-1.クラウドの定義

クラウドとは、場所やデバイスに依存せずにサービスを利用できる方式のことです。
PCやスマホなどにソフトウェアをインストールして各デバイス内でシステムを稼働させるのではなく、インターネット回線を通じてシステムを利用するため、どんな場所でもどんな媒体でも利用できることが特徴です。

クラウドサービスを提供するためのサーバーは、一般的にデータセンターなどに設置されています。利用者はインターネットを介してそのサーバーへとアクセスし、「メール」や「管理システム」などのサービスを利用するのです。
そのため、クラウドの利用には場所やデバイスの制約がありません。

これまで、企業が新システムを構築するには、社内に物理的なサーバー機器を設置する「オンプレミス」という形式が主流でした。
サーバー機器は高価であり、保守整備には大きな手間と費用がかかります。
しかしクラウドサービスの出現によって、安価かつ手軽に新システムを導入できるようになったのです。

参考記事:Webサーバーとは何か?ウェブサイト運営者に必要な基礎知識

なお、よく混同されがちなのですが、クラウドコンピューティングのクラウドが「cloud(雲)」であるのに対し、クラウドソーシングのクラウドは「crowd(群衆)」です。
カタカナ表記にすると同じですが、意味合いが異なるため注意しておきましょう。

1-2.パブリッククラウドとプライベートクラウド

クラウドには、「パブリッククラウド」と「プライベートクラウド」の2種類があります。

インターネットを介してサービスを利用するという点は共通していますが、そのサービスが共用か専用か、という点において違いがあります。
費用やセキュリティにおいて差異がみられるので、それぞれの特徴を簡単に把握しておきましょう。

パブリッククラウド

サーバーやソフトウェア、回線などを多数のユーザーで共有するタイプのクラウドです。
サービスの提供者が管理しているデータセンターなどに設置されたサーバーを介し、サービスを利用します。

代表例として、「Gmail」などのwebメールサービスや、「Dropbox」などのオンラインストレージが挙げられます。最近注目されている会計ソフトの「freee」も、パブリッククラウドサービスに分類されます。
アカウントを作成して既存のシステムやサービスを利用する形式が一般的であり、即日利用開始可能なものも珍しくありません。

1つのシステムを大勢の人で共有するので、導入が容易で費用が安い反面、カスタマイズ性に乏しく、保守管理がコントロールできないというデメリットもあります。

プライベートクラウド

特定の利用者向け用意された専用システムのことです。

企業の業務形態やルールに則った自由なカスタマイズが可能であり、「各部署や事業所でバラバラに運用していたシステムを統合する」など独自性の高いシステムを築くことができます。
大和証券やオリンパスなどの大企業や、足立区などの自治体による導入例が目立ちますが、近年では中小企業向けのサービスも多くみられるようになりました。

サーバーをどこに置くかはまちまちで、社外のデータセンターにあるサーバーを占有して構築する場合も、データセンター自体を社内に置く場合もあります。
パブリッククラウドよりも初期費用が高額であり、導入にも時間がかかる傾向にありますが、企業の体制に合わせて独自要件を満たせる点が魅力的だといえます。

2.クラウド化のメリット

では、企業が新システムを導入すると考えたときに、物理サーバーではなくクラウドを採用して得られるメリットとはなんでしょうか?
代表的なメリットとしては、下記3点が挙げられます。

  • 初期投資が安い
  • ランニングコストが安い
  • 障害や災害に強い

ひとつずつ解説していきましょう。

2-1.初期投資が安い

クラウドは、基本的に物理的なサーバー機器の導入を必要としません。
そのため初期投資(イニシャルコスト)が無料、もしくは安価です。

企業が新システムを構築するときに必要となるものが、システムを稼働させるためのサーバーです。
従来の主流であった社内に物理サーバーを設置する「オンプレミス型」は、カスタマイズ性やパフォーマンスの高さが魅力ではあるものの、初期投資額が非常に効果でした。物理サーバー機器は1台当たり約100~200万円程度と非常に高額であり、また、利用終了時の廃棄にもコストがかかります。

しかしクラウドでシステムを構築する場合、物理サーバーはクラウドサービスを提供しているデータセンターに存在します。社内にサーバー機器を設置する必要がないので、社内インフラ整備にあまり資金を割けない中小企業でも問題なく導入できます。

2-2.ランニングコストが安い

クラウドは初期投資額だけでなく、日々のランニングコストも安価です。

クラウドの使用には、サービスを提供している事業者への月額利用料が発生します。そのため、一見すると月額使用料のないオンプレミス型よりもランニングコストが高価だと思われがちです。
しかしオンプレミス型の場合、サーバーの管理・メンテナンスをすべて自社内で行う必要があります。エンジニアを採用するにしても保守管理を外注するにしても、そこには必ず費用が発生します。また、月々の電気代もバカにできるものではありません。

これに対して、クラウドの月額利用料には保守管理費用などが含まれています。
メンテナンスリスクの発生も劇的に少なくなるため、結果的にランニングコストが安価に抑えられるのです。

2-3.障害や災害に強い

オンプレミス型の場合、ひとたび大規模な障害や災害が発生すると、バックアップから復旧させる作業が必要になります。とくに会社が被災した場合、復旧作業を被災した現地で行うことになるため、多大な労力が必要になります。必然的に、システム停止時間も長くなります。

しかしクラウドの場合、データ自体は外部のデータセンターにあるため、インターネット回線が使えればサービスの利用が可能です。
東日本大震災の際には、仙台市において2日でインターネット回線が復旧した例があります。オンプレミス型よりも迅速なシステム復旧が可能だといえるでしょう。

参考記事:被災地で IT は役立ったか?|Google Crisis Response
http://www.google.org/crisisresponse/kiroku311/chapter_05.html

また、クラウドサービスを提供している事業者は、多くの場合複数拠点で同じデータをバックアップしています。よほどのことがない限り、災害によるデータ損失などは発生しません。

3.クラウドのデメリット

メリットが非常に多く、今すぐ導入すべきサービスであるように思えるクラウド。
しかし、クラウドにもいくつかのデメリットがあります。代表的なものは下記3点でしょう。

  • セキュリティの不安が残る
  • 物理サーバーよりパフォーマンスが悪い
  • カスタマイズが難しい

それぞれの内容をみていきましょう。

3-1.セキュリティの不安が残る

クラウド最大のデメリットは、セキュリティ面での不安です。

クラウドはインターネットを介することが前提のサービス形態であり、社内完結のローカル環境と比較した場合、どうしてもセキュリティ面での不安が残ります。
クラウド環境は情報流出につながるのでは、と考えている人も多いでしょう。

プライベートクラウドの場合は自社水準に合わせてセキュリティを強化することも可能ですが、パブリッククラウドの場合は難しいといえます。

パブリッククラウドサービスを提供している企業は、各社ごとにセキュリティ面での指針や対策を示しています。契約する前にしっかりとチェックを行い、自社のニーズを満たせるかどうか、確認を怠らないことが重要です。

3-2.物理サーバーよりパフォーマンスが悪い

社内に物理サーバーを設置するオンプレミス型と異なり、クラウドはインターネット回線を経由してサービスを使用します。
そのため、どうしても処理パフォーマンスが低下します。とくに通信速度が遅い場合の影響は顕著であり、また、当然ですがネットワーク環境がなければ使用自体が不可能になります。

3-3.カスタマイズが難しい

オンプレミス型の場合、自社のニーズに合うように、サーバーやアプリケーションなどを細かくカスタマイズできます。
しかしクラウドの場合、既存のサービスを活用するので細かいカスタマイズは難しくなります。

どの程度までカスタマイズできるかはサービスを提供している会社によりますが、社内に独自ルールが多数ありそのすべてを反映させなくてはならない場合、オンプレミス型を検討した方がいいかもしれません。

4.まとめ

ここまで話してきたクラウドの特徴を、オンプレミス型と対比させる形で表にまとめてみました。

これを見てみると、クラウドには大きなメリットがある反面、まだまだ解決すべき問題も多く残っていることがわかります。とくにセキュリティに関しては、どうしてもデータを社外に出せない場合などに大きな障害となります。

独自性や高パフォーマンスが求められるシステムにはオンプレミス型が適していますし、カスタマイズや他システムとの連携が必要なければパブリッククラウドが適しています。
プライベートクラウドは自社内にサーバーを置くか否かで変わってきますが、外部ベンダーの社外サーバーを占有する場合はパブリッククラウド寄り、自社内にデータセンターを設置する場合はオンプレミス寄りだと認識しておけばいいでしょう。

システムのクラウド化を勧める記事がネット上には散見されますが、クラウド化が最善であると一概にはいえません。
新規に社内でシステムを導入する、もしくは既存のシステムの置き換えを検討する場合は、これらのメリットとデメリットをしっかりと見極めて判断していきましょう。

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