マッチタイプの基礎と実践|完全一致・部分一致・フレーズ一致・絞り込み部分一致とは?
リスティング広告で重要なのはキーワードの選び方ですが、ただそれを入札するだけではうまくいきません。
「マッチタイプ」という設定をする必要があります。
マッチタイプを上手に使えると、予算を抑えながら広告効果を最大限に引き上げることができます。
ここでは、マッチタイプの基礎知識から実際の設定方法までを解説していきます。
本来、リスティング広告は高い費用対効果が期待できる広告です。「コンバージョン率が低い」「予算の消費が早い」などの悩みを持っている運用担当者は、マッチタイプを見直して広告効果を高めていきましょう!
目次
1.マッチタイプとは
2.基本的なマッチタイプ|「完全一致」「部分一致」
2-1.完全一致
2-2.部分一致
2-3.設定の仕方
3.使いこなすと幅が広がるマッチタイプ|「フレーズ一致」「絞り込み部分一致」
3-1.フレーズ一致
3-2.絞り込み部分一致
3-3.除外キーワード
3-4.設定の仕方
4.設定時の注意点|語順・スペース・半角・全角
5.演習
5-1.機会損失せずに不要な語を排除したい
5-2.特定の語句は排除したいが、その語句に違う言葉が付属した場合は広告表示したい
6.まとめ
1.マッチタイプとは
マッチタイプとは、「設定したキーワードと検索されたキーワードがどの程度一致していれば広告が表示されるのか」を定めるものです。
この説明だけだと、すこしわかりづらいですね。
では、「完全一致」「部分一致」「フレーズ一致」などの名称をきいたことはないでしょうか?
これらは、マッチタイプの設定のひとつです。
完全一致なら、設定したキーワードと検索されたキーワードが完全に一致しないと広告表示がされません。しかし部分一致なら、さまざまな語句との組み合わせや類語、関連語による検索結果にも広告が表示されます。
マッチタイプを活用すれば、同じキーワードでも広告表示のパターンをさまざまに変えていくことができます。
つまり、マッチタイプを設定することによって、広告表示の機会を制御できるということです。
マッチタイプの設定は、費用対効果に大きな影響を及ぼします。
広告がクリックされるごとに費用がかかるリスティング広告は、無差別に広告表示をしてしまうと一気に予算がかさんでしまいます。しかし、キーワードひとつひとつに役割を与えることで、無駄な費用を抑えられます。
ちなみにGoogle Adwordsでは、広告主が広告管理画面で設定する語句や単語を「キーワード」、ユーザーが実際に検索した語句を「検索クエリ」とよんでいます。
こうしたリスティング広告の専門用語も覚えながら、次から解説するマッチタイプの基礎知識と、うまく設定していくコツについて理解を深めていきましょう。
2.基本的なマッチタイプ|「完全一致」「部分一致」
リスティング広告の入札キーワードに役割を与えるマッチタイプは、下記の4種類です。
- 完全一致
- 部分一致
- フレーズ一致
- 絞り込み部分一致
基本となるのは上の2種類で、他の2種類は応用になります。
まずは基本となるマッチタイプ「完全一致」と「部分一致」を理解しましょう。
2-1.完全一致
完全一致とは、「ユーザーが検索したとおりのキーワードに対してのみ広告を表示する」という設定です。つまり、キーワードと検索クエリが完全に一致した場合にのみ広告を表示する、ということですね。
例を挙げてみましょう。
例:「葡萄」と完全一致で入札した場合
「葡萄」→表示される
「葡萄 おいしい」→表示されない
例:「葡萄 ワイン」と完全一致で入札した場合
「葡萄 ワイン」→表示される
「ワイン 葡萄」→表示されない
完全一致で「葡萄 ワイン」などの複合ワードを指定する際に注意したいのは、語順が変わると広告が表示されないという点です。
「葡萄 ワイン」だけでなく「ワイン 葡萄」と検索されたときも広告を表示させたければ、完全一致の場合、この語順でも入札しておく必要があります。
また、表記のゆれや一部の類似パターンの検索語句でも表示されることがあるようです。
2-2. 部分一致
部分一致とは、「キーワードと検索クエリが部分的に一致した場合、および検索クエリがキーワードと関連性が高いと判断された場合に広告を表示する」という設定です。
語順は影響しないので、「葡萄 ワイン」などの複合語を設定した場合、「ワイン 葡萄」でも広告が表示されます。
部分一致で注意しなければならないのは、「キーワードと検索クエリが部分的に一致した場合」だけでなく、「検索クエリがキーワードと関連性が高いと判断された場合」にも広告が表示されるという点です。
例を挙げてみましょう。
例:「葡萄 ワイン」と部分一致で入札した場合
「葡萄」→表示される
「ワイン 葡萄」→表示される
「葡萄 ワイン販売」→表示される
「デザート ワイン 葡萄」→表示される
「マスカット」→表示される可能性がある
ここで注目してほしいのは、一番下の「マスカット」という検索クエリです。
部分一致では、このように設定した語句が入っていない場合でも、広告が表示される可能性があります。
「マスカット」という検索クエリが「葡萄の類義語」だと検索エンジンが判断すれば、この検索クエリに対して広告が表示されることがあるのです。
関連性の判断は検索エンジンのロジックに委ねられています。
ですから、部分一致は幅広く広告掲載ができるというメリットがある反面、広告主がコントロールしにくいというデメリットもあります。
2-3. 設定の仕方
それでは、完全一致と部分一致について、実際に設定する際のポイントを紹介しておきましょう。
2-3-1.実際の設定方法
Google AdwordsでもYahoo!プロモーション広告でも、デフォルトのマッチタイプは部分一致になっています。
ですから、アカウントを開設したばかり、あるいはキャンペーンを設定したばかりで慣れていないときには、とくに注意をしておく必要があります。
上で紹介したように、部分一致の場合は、類義語や類似パターンなどが拡張されすぎて表示されることがままあるからです。
完全一致に変更したいときには、入札したキーワードに対して編集メニューのプルダウンから変更します。
■Google Adwords
部分一致では 葡萄 となっていた表示が、完全一致に変更すると [葡萄] に変わります。
[ ](カッコ)で囲まれることで、完全一致になったことが確認できます。
■Yahoo!プロモーション広告
変更しても表記は変わりません。
マッチタイプの欄が「完全一致」となっていれば、完全一致に設定されています。
2-3-2.完全一致と部分一致、どちらがより良い設定なのか
実際の利用方法として、「完全一致と部分一致のどちらを優先して用いるか」については、一概にはいえません。
あくまでも一例ですが、もしリスティング広告を始めたばかりでキーワードに対しての分析もほとんどできていないというときには、当面は部分一致で幅広く運用していくのが良いかもしれません。
広告を出すと同時に幅広い言葉に対して網をはり、多くのデータを集めることも目的とするイメージです。
Googleアナリティクスなどのアクセス解析ツールで各キーワードの動向を観察していると、次第にコンバージョンやクリックが取れるキーワードが特定されていくはずです。
それが重要なキーワードになるので、完全一致に変えて運用していくようにします。そうすることで無駄な検索語句での表示を抑え、費用対効果のアップが見込めます。
3. 使いこなすと幅が広がるマッチタイプ|「フレーズ一致」「絞り込み部分一致」
かつては完全一致と部分一致の2つを押さえておけば、リスティング広告の運用に大きな支障は出ませんでした。
しかしリスティング広告の導入が増え競争も激しくなってきたことから、応用ともいえるマッチタイプも多く用いられるようになっています。
ここではその応用の2つ「フレーズ一致」と「絞り込み部分一致」、くわえて「除外キーワード」について解説します。
3-1. フレーズ一致
フレーズ一致は、完全一致の拡張版と理解しておくと良いでしょう。
入札したキーワードに対してのみ広告が表示されるのが完全一致ですが、フレーズ一致の場合は、” ”で囲った部分の前後に別の語句が追加されたときにも表示されます。
完全一致の拡張版なので、入札キーワードが複合語であった場合、語順が変わると広告表示はされません。
例:「ニキビケア 通販」とフレーズ一致で入札した場合
「ニキビケア 通販 格安」→表示される
「通販 ニキビケア 格安」→表示されない
「ニキビケア 格安 通販」→表示されない
3-2. 絞り込み部分一致
フレーズ一致が完全一致の拡張版なら、絞り込み部分一致は部分一致の派生版です。
絞り込み部分一致は、設定したキーワードを含んでいない検索クエリでは広告表示されません。部分一致のように幅広くなく、かつ機会損失も少ないので、使い勝手の良いマッチタイプです。
また、複合語の語順が変わった場合でも広告を表示できます。
例:「ニキビケア 通販」と絞り込み部分一致で入札した場合
「ニキビケア 通販 格安」→表示される
「通販 ニキビケア 格安」→表示される
「ニキビケア 格安 通販」→表示される
上記の例は、部分一致でも広告は表示されます。
しかし、検索エンジンが類義語を拡大解釈してしまい、意図しない類似パターンでの表示も多く行われてしまうかもしれません。
絞り込み部分一致は類義語での広告表示は行わないので、部分一致よりも無駄な費用が発生しにくいといえます。
3-3. 除外キーワード
除外キーワードとは、「入札したキーワードで検索されても、除外キーワードとして設定した言葉が検索クエリに含まれていた場合は広告を表示させない」という設定です。
たとえば、大人ニキビの商品しか扱っていないサイトがあったとします。
このWebサイトにユーザーを誘導したい場合、「中学生ニキビケア 通販」と検索されたときに広告を表示するのは無駄ですよね。
そんなときは、除外キーワードに「中学生」というワードを設定しておきましょう。こうすれば、「中学生 ニキビケア 通販」と検索されたときには広告が表示されません。
3-4. 設定の仕方
フレーズ一致と絞り込み部分一致を用いた実際の設定方法と、活用のポイントについて紹介していきます。
まず、実際の設定方法を確認していきましょう。
フレーズ一致の設定
フレーズ一致に変更したいときには、入札したキーワードに対して編集メニューのプルダウンから変更します。
■Google Adwords
部分一致では ニキビケア 通販 となっていた表示が、フレーズ一致に変更すると“ニキビケア 通販”に変わります。
“ ”(ダブルクォーテーション)に囲まれることで、フレーズ一致になったことが確認できます。
■Yahoo!プロモーション広告
変更しても表記は変わりません。
マッチタイプの欄が「フレーズ一致」となっていれば、フレーズ一致に設定されています。
絞り込み部分一致の設定
絞り込み部分一致の場合は、管理画面上のマッチタイプは部分一致のままにして、キーワードに半角の+を付けます。
Google Adwordsでも、Yahoo!プロモーション広告でも同じです。
ただしYahoo!の場合は、マッチタイプ欄が「部分一致」になっていることを確認しておきましょう。
複合語の場合は、絞り込み部分一致にしたい方の語句に+をつけます。両方絞り込み部分一致にしたい場合は、両方の語句につけます。
つまり、2つのキーワードを複合して登録している場合は、絞り込み部分一致の設定は3通りあります。
絞り込み部分一致で注意すべきポイントですが、上表の①と②と③は、すべて違う意味合いを持っています。
絞り込み部分一致は「+が付いた語は完全一致、付いてない方の語は部分一致になる」と理解しておくと、飲みこみやすいはずです。
①の「+ニキビケア +通販」は、どちらも絞り込み部分一致に設定されているので、設定していない関連語などで広告表示される心配はありません。
しかし、②は「通販」が、③は「ニキビケア」が部分一致のままなので、その語句の関連語で広告が表示される可能性があります。
たとえば②の「+ニキビケア 通販」の場合、検索エンジンが「購入」「ECサイト」などの語句が「通販」と関連性が高いと判断すると、「ニキビケア 購入」「ニキビケア ECサイト」などの検索語句でも広告表示される可能性があります。
使い勝手の良い絞り込み部分一致ですが、この形式で入札をするキーワードに対しては、すべて+記号を付ける必要があります。つまり、大量のキーワードの場合には、非常に手間が大きくなってきます。
そんなときは、EXCELなどでcsvデータを作り、インポートする方法が多く用いられます。
除外キーワードの設定
除外キーワードは、キャンペーン、または広告グループ単位で設定できます。
たとえば、同じサイトで幅広い年代に向けたニキビケア商品を扱っているなら、ターゲットの年代ごとに広告グループを分けてみましょう。
1つは「大人ニキビ」用、もう1つは「思春期ニキビ」用、といった形です。
そうすると、大人ニキビの広告グループに「中学生」「高校生」などの除外キーワードを設定して、顧客になり得ない層からのアクセスを排除できます。
思春期ニキビのグループには、「残業」「喫煙」など語句を設定しておくと効果が出そうですね。
このように、除外キーワードをうまく使うと、無駄な広告表示を排除できます。
4.設定時の注意点|語順・スペース・半角・全角
マッチタイプの設定で迷うのが、語順やスペースの扱いです。
完全一致は語順、スペースともに入札した通りの検索が行われない場合、広告表示はされません。
フレーズ一致では、語順が完全に一致した場合にのみ表示されます。
そして部分一致は、語順、スペースともに関係がない大雑把なマッチタイプと認識しておけば大丈夫ですが、少し注意したいのは絞り込み部分一致です。
「中古マンション」というキーワードを入札する場合、「+中古マンション」なのか「+中古 マンション」なのかで、配信条件が変わります。
「+中古マンション」とスペースなしで設定していると、「中古アパート」と検索されたときは広告が配信されません。しかし、「+中古 マンション」とスペースありで設定している場合は、配信される可能性があります。
これはアパートをマンションの類義語として検索エンジンが認識するかもしれないからです。
また、絞り込み部分一致の設定時に間違えやすいのが、「+の後ろにスペースを入れてしまう」「半角の「+」ではなく全角の「+」で入力をしてしまう」などのケースです。
これらは絞り込み部分一致として認識されないので、くれぐれも注意してください。
5. 演習
マッチタイプの基本は押さえることができました。
しかし実際に設定を始めると、迷ってしまう場面が出てくるはずです。
そんなときのために、多く見られる事例と対処法をすこし考えてみましょう。
5-1. 機会損失せずに不要な語を排除したい
【例題】
山梨のワインしか扱っていないサイトが「山梨ワイン 通販」と入札をしている。
「フランスワイン 通販」「南米ワイン 通販」などの検索クエリで広告表示されるのは無駄なので、別地方のワインを検索している語句を排除したい。
【解決案】
絞り込み部分一致で「+山梨ワイン 通販」と設定する。
「山梨ワイン」を絞り込み部分一致にすれば、「山梨ワイン」が入っていない検索には広告表示がされないため、フランスや南米のワインだけを目的とした検索を除外できます。
絞り込み部分一致の使い勝手が良いとされている理由です。
また、マッチタイプは部分一致のまま除外キーワードで「フランス」や「南米」などの語句を設定しても、結果は同じです。
山梨ワインが必ず含まれるという点では、こちらでも良いといえます。
しかし除外キーワードで設定した場合、仮に「山梨 フランス ワイン通販」と検索された場合などにも広告が表示されません。
「山梨 フランス ワイン通販」と検索するユーザーは、山梨ワインを買ってくれる可能性があるので、機会損失だといえます。
検索ユーザーの検索パターンはさまざまですから、なるべく機会損失がない形を考えていきましょう。
5-2.特定の語句は排除したいが、その語句に違う言葉が付属した場合は広告表示したい
【例題】
「マンション」というキーワードでは広告を表示させたくない。
しかし、「分譲マンション」「中古マンション」「マンション 東京」などの「マンション」という言葉に別の言葉が付いている場合はすべて表示させたい。
【解決案】
フレーズ一致で[マンション]を設定し、除外キーワードで「マンション」を設定する。
フレーズ一致で設定することで、「マンション」あるいは「マンションの前後に別の語が付いた場合」は、すべて広告表示されるようになります。
そこに除外キーワードで「マンション」を設定しておくと、「マンション」のみの検索だけ排除できるようになるのです。
単純なようですが慣れていないと意外に思い浮かばない設定なので、徐々に覚えていきましょう。
6. まとめ
最後に、各マッチタイプの設定をおさらいしておきましょう。
リスティング広告のマッチタイプは4つ、「完全一致」「部分一致」「フレーズ一致」「絞り込み部分一致」です。
これに「除外キーワード」を組み合わせることで、入札キーワードにささまざな役割を与えていくことができます。
部分一致を設定しておけば幅広く広告が表示されますが、費用対効果はなかなか高くなりません。
まずは部分一致から始めて、リスティング広告に慣れたら絞り込み部分一致などを使い、効率の良い広告出稿に改善していくようにしましょう。