社内インフラとは何か?整備の重要性と3つの改善ポイント
「社内インフラは重要だ」とよくいわれますが、具体的な意味はよくわからない、という人も多いのではないでしょうか。
社内インフラとはパソコンとかインターネットのこと、と理解している人も多いかと思いますが、そういったあいまいな認識だと重要性もうまく理解できません。
しかし社内インフラの重要性を理解してきちんと整備しておかなければ、業務効率が低下したり、情報が流出したりといった損害を被る可能性があります。
この記事では、社内インフラの整備という観点から、企業の損害を防ぎ業務効率を向上させる方法について説明していきます。
まずはインフラの定義などの基本を把握してから、具体的な手法やツールを学んでいきましょう。
目次
1.インフラとは何か
2.社内インフラとは何か
2-1.ITインフラの定義
2-2.ITにおける社内インフラの定義
3.社内インフラ整備で考えるべきこと
3-1.安全性
3-2.快適性
3-3.耐障害性
4.インフラサービス専門業者の活用
5.まとめ
1.インフラとは何か
インフラとは「Infrastructure(インフラストラクチャ)」の略で、「基盤」「下部構造」などの意味を持ちます。
社内インフラというとパソコンやインターネットのイメージが強いですが、インフラ自体はIT用語ではありません。
単に「インフラ」といった場合は、社会的・経済的な生活基盤を形成するさまざまなものを指します。たとえば、「電気」「ガス」「水道」などの生活を支えるものや、「道路」「鉄道」「ダム」などの交通や防災を担う公共施設、「電話」「インターネット」などの通信設備などが該当します。
あまりに多くのものを含む言葉なので、その中の特定の何かについて述べるときは、「交通インフラ」「通信インフラ」とよぶ場合があります。
「交通インフラ」であれば「道路」「鉄道」などを、「通信インフラ」であれば「電話」「インターネット」などを指します。
【例】
エネルギーインフラ:電力・ガスなどのエネルギーに関するインフラ
交通インフラ:道路・鉄道・港湾施設などの交通に関するインフラ
通信インフラ:電話・インターネットなどの通信に関するインフラ
ITインフラ:パソコン・アプリケーションなどのITに関するインフラ
2.社内インフラとは何か
社内インフラとは、企業が事業活動を行うために必要な基盤を指します。
「電気」「水道」「ガス」はもちろん、「電話」「FAX」などの通信インフラや、「パソコン」「アプリケーション」などのITインフラも含みます。
しかし、単に「社内インフラ」といった場合、その多くは社内のITインフラを指します。
まずはITインフラの定義を明確にしてから、社内インフラについて解説していきましょう。
2-1.ITインフラの定義
ITインフラとは、コンピューターに関連するインフラのことです。
「パソコン」「サーバー」などのハードウェアや、「OS」「アプリケーション」「データベース」などのソフトウェアから成り立っています。
こうやって専門用語を挙げていくと想像しづらいかもしれませんが、これらはすべて、私たちが日常的に業務で使用するメールやインターネットなどの仕組みを支えるものです。
ITインフラとは、コンピューターを使って何かするときに関連するものすべて、と認識しておけばいいでしょう。
2-2.ITにおける社内インフラの定義
社内インフラとは、ITインフラのうち、特定の会社や企業内に設置されているものをいいます。
たとえば、社内に設置されている「パソコン」「サーバー」「ネットワーク機器」などのハードウェア、また、それらに導入されている「OS」「アプリケーション」などのソフトウェアのことです。
社内インフラが適切に管理されることによって、日常的に行う下記のような業務が可能になります。
- パソコンでExcelを使って事務処理をする
- webブラウザでサイトを見て競合調査をする
- スマホのメールアプリで顧客や取引先と連絡を取る
- クラウド型の会計ソフトを使って会計管理をする
こういったごく当たり前の業務を支えているものが、社内インフラです。
あなたがこの記事を会社で読んでいるのであれば、そのパソコンはもちろん、webページを閲覧するために使っているGoogle ChromeやInternet Explorerなどのwebブラウザも社内インフラのひとつだとえいます。
3.社内インフラ整備で考えるべきこと
業務効率や作業環境を大きく左右する社内インフラ。
これを整備するとき、下記3つの観点から改善を考える必要があります。
- 安全性
- 快適性
- 耐障害性
ここでは、それぞれを向上させるために考えられる方法を紹介していきます。
ひとつずつみていきましょう。
3-1.安全性
現代において、パソコンをスタンドアロン(通信ネットワークと接続しない独立した状態のこと)だけで使用している人はほとんどいないでしょう。外部の情報にアクセスできるネットワークは非常に便利ですが、同時に、外部から攻撃されるリスクも存在しています。
ネットワークを介した不正アクセスやウィルス感染を防ぐためには、インフラの安全性を向上させる必要があります。
セキュリティの向上は社内インフラ整備における最重要課題であり、下記のような取り組みを行うことをおすすめします。
- 社内のネットワーク規程の明文化
- セキュリティシステムの導入
まずは、情報流出を防止するために「社内でのSNSアクセス禁止」「USBなどの記憶媒体利用制限」など、ネットワークに関する社内規程を取り決めて明文化しておきましょう。
社内サーバーへのアクセス権限なども、明確に決めておくことをおすすめします。
規程ができたら、不正アクセスなどを防ぐために、ファイアーウォールなどのアンチセキュリティソフトを導入しましょう。
大規模な場合は、IPS(侵入防止装置)や UTM(統合脅威管理装置)の導入も検討するべきです。
社内のサーバーやパソコンに保存されているデータは、会社の大事な資産です。
とくに顧客情報などは流出してしまうと信用問題に関わるため、なんとしてでも守らなければなりません。
インフラのセキュリティ整備は、なにはなくとも真っ先に実施しておきましょう。
3-2.快適性
PCやサーバーの性能を上げたり管理の手間を減らしたりすることで、快適性が増して業務効率の向上が期待できます。
社員の貴重な時間を無駄な待ち時間や作業で消費してしまわないように、下記のような工夫で快適な環境づくりを心がけましょう。
- PCやサーバーの高速化
- ネットワークの簡略化
- 業務効率化ツールの導入
パソコンやサーバーの処理能力は、業務効率に直結する要素です。
たとえばExcelやPower PointなどのMicrosoft Officeソフトを複数同時に使うだけでも、PCの処理能力が低ければ、動作が遅くなり作業効率が悪くなります。また、サーバーが貧弱であれば、webを使った情報収集や業務システムの使用などにも時間がかかってしまいます。
これらひとつひとつはほんの僅かな時間ですが、積もり積もれば大きな時間的ロスにつながります。また、社員の仕事に対するモチベーションにもつながります。
また、ネットワークが煩雑である場合は、管理の手間を減らすためにシンプルに作り変えることをおすすめします。
たとえば、使っているのかいないのかもわからないネットワークが社内に張り巡らされていたり、ネットワークスイッチでの中継が何段にも重なっていたりする場合、管理が非常に煩雑になります。それだけでなく、障害時の故障個所探求も難しくなります。
使っていないネットワークは排除して、できるだけ「基幹システム→PC」といった形のシンプルな形にしましょう。
他にも、業務を効率化するツールを導入することもお勧めです。
たとえば、「チャットワーク」や「Skype for Business」などのコミュニケーションツールは、勤務地に関係なくグループでコミュニケーションが取れる便利なツールです。
全社員がこうしたツールを導入していれば、出張などで不在にしている社員とも素早く連絡が取れます。テレビ会議用やプロジェクトの進行管理用に活用している企業も多いのではないでしょうか。
近年は、安価あるいは無料でクオリティの高いツールが入手できます。
もし社内で「コミュニケーションがうまくいかない」「タスク管理が煩雑」などの課題があるのであれば、解決できるツールがないか探してみるといいでしょう。
参考記事:現役エンジニアが選ぶ!これから社内インフラを整えるという時に、全社員のPCに入れておきたい定番のツールと設定
3-3.耐障害性
システム停止やデータ損失は、企業に大きな打撃を与えます。
しかしネットワーク障害や大規模災害は、防ごうと思って防げるものではありません。
いざというときのために、下記のような手法で社内インフラの耐障害性を向上させておく必要があります。
- ネットワーク機器や回線の冗長化
- クラウドサービスの活用
冗長化とは、「機器や回線を正副設けて、片方が故障しても片方が稼働してシステムが途切れないようにする仕組み」のことです。
回線を二重にしたり、サーバーディスクのRAID設定(同時に複数のディスクに同じデータを書き込む設定)をしたりすることで、万が一のときも事業活動を継続できるようになります。
また、近年注目度が高まっているクラウドサービスの活用は、耐障害性という点で大いに有用です。既存のサーバーやネットワーク機器、あるいはアプリケーションをクラウド環境に移行することで、データ損失のリスクは限りなく低下します。
参考記事:【中小企業向け】社内システムのクラウド化は正解か?メリット・デメリットを把握しよう
ネットワークを介してサービスを提供している会社はもちろん、そうでない会社も、いざというときのために外部との連絡手段確保やデータ保存に備える処置が必要です。
障害や災害によるシステム停止の際に、いかにサービス停止時間を短くしてデータの損失を防止するかが、企業が経済活動を続けていく上で重要なポイントとなるからです。
BCP(事業継続性)強化のためには、ITインフラの整備が必要不可欠なのです。
4.インフラサービス専門業者の活用
ここまで社内インフラ整備の重要性をお話ししてきましたが、社内で全て行うとかなりの手間がかかります。
インフラ部門がある大企業であれば構わないのですが、人の少ない中小企業の場合、インフラ整備は外部ベンダーに完全に委託してしまうという選択肢も有効です。
インフラサービスの専門業者は、企業にとって最適なインフラを整えるだけでなく、継続したメンテナンスを実施してくれます。
また、多くの場合、障害が起こったとしても迅速な復旧が期待できます。
ただし、当然アウトソーシングにすればそれだけの費用がかかります。
社内インフラは、よほど大規模でない限り、毎日毎日メンテナンスが必要なわけではありません。社員でITに強い人がいるのであれば、その人と相談して少しずつ整備を進めていってもいいでしょう。
5.まとめ
メールで顧客とのやり取りを行ったり、業務上の書類を作成したり、販売の管理をしたりと、現代のビジネスにおいてITインフラは欠かせないものとなっています。
社内インフラが適切に整備されているか否かは、業務効率や社員の満足度はもちろん、顧客からの信頼をも左右する要素だといえるでしょう。
安全に効率よく、そして長く事業活動を進めていけるよう、社内インフラの整備状況を一度見直してみてはいかがでしょうか?