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リスティングの予算はこう決める!リスティング広告費用最適化ガイド

作成日:2016.09.09

最終更新日:2016.09.30

カテゴリー:リスティング広告

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「コストパフォーマンスがいい」「予算コントロールが容易」といわれるリスティング広告は、運用前に相場観を掴むことが難しい広告でもあります。
どの程度の予算を用意すればいいのか予測できずに、費用を計算しあぐねて運用に踏み切れない企業も多いのではないでしょうか。

結論からいえば、リスティングは1クリック10円程度でも出稿できます。
ですから、理論的には10円からでも利用自体は可能です。

しかし「1クリックで1コンバージョンが取れる」といった奇跡は、まず起こり得ません。
クリック単価(CPC)自体も業界やキーワードによって開きが大きいため、リスティング広告の費用は、クリック単価ではなく月額や年額などの費用で考えることが原則です。

今回は、「リスティング広告の月額予算はどの程度かけるべきなのか?」という疑問を、複数の観点から考察していきます。
損をしないためのノウハウや考え方も併せて紹介していくので、予算決めの材料としてください。

1.予算決定の2大パターン

広告予算はサイトの規模や業種、業界によって違ってくるので、一概に「これくらい」とはいえません。
社員数が100人程度の中小企業でも、月額予算が30万円というところもあれば300万円というところもあります。業界や商材によって大きく変動するので、他社の広告予算を基に相場観を掴むことはあまり現実的ではありません。

規模も業界もキーワードも違う他社の予算を参考にするのではなく、自社のビジネスとリスティングの費用対効果を把握して予算設定することが重要です。
まずは、上手な予算設定を行う代表的なパターンを2つ紹介していきます。

1-1.金額シミュレーションから決定する

まずはデジタルマーケティングらしく、ツールを駆使して金額シミュレーションを行う方法からです。

リスティング広告では、広告主自らが活用できるツールが複数提供されています。
その中でも、とくに重要度と利用頻度が高いものとして、下記キーワード選定ツールが挙げられます。

  • Google AdWords「キーワードプランナー」
  • Yahoo!プロモーション広告「キーワードアドバイスツール」

この2つは、それぞれの検索エンジンの実績を基に、検討しているキーワードの想定入札額や検索ボリュームなどを算出するものです。
これらのツールを用いてキーワードを選定し、クリック単価やクリック数の想定パターンを作っていくことで、金額シミュレーションが可能となります。

参考:キーワードプランナーで検索ボリュームを調べる方法

上記2つ以外にも金額シミュレーションを行えるツールは多数提供されているため、複数のツールを組み合わせると、より精度の高いシミュレーションができます。
広告主自らが広告予算を把握・管理できるという、デジタルマーケティングらしい予算決定法だといえるでしょう。

ただし、こうしたデジタルな作業に慣れている人はあまり多くありません。
また、各ツールは予算だけで効果が出せる高めの金額表示がされることが多く、現実にはシミュレーション通りの予算設定はできないケースが多くなります。

1-2.費用上限から決定する

もうひとつのパターンは、リスティング広告にかけられる予算上限をざっくりと決めて、そこから費用を考えていくという方法です。

まず、「20万/月」「50万/月」「100万/月」といった形で、リスティング広告にかけられる大まかな予算上限を決めます。
この大枠の中で、「Google AdWords」と「Yahoo!プロモーション広告」それぞれに予算を割り振り、そこからさらにキャンペーン毎の予算を割り振っていきます。
キーワードのクリック単価などの実際に即した情報からではなく、経営状況や売り上げなどを鑑みて予算枠自体を先に決めてしまう、という方法です。

このやり方はデジタルマーケティングならではの利点をまったく活かせていない、と批判的な人をときおり見かけます。
しかし先に書いたように、予算シミュレーションを精緻に行える人は限られています。
エキスパートがいない企業やサイトオーナーが無理にデジタルな手法を取り入れるのは、かえって時間のロスとなる可能性があります。

企業といえども、お財布の中身は限られているはずです。
ですから、出せる予算から上限を決めておくことは現実に即したやり方です。

2.インハウスの予算と外注の予算

運用型広告であるリスティング広告は、プロの広告会社に外注することもありますが、自社内で担当者が運用しているケース(インハウス)も珍しくありません。
そして、インハウスと外注では予算決定において気を付けるべきことが少し異なってきます。

1章で紹介したどちらのパターンで予算を決めても構いませんが、インハウスと外注、それぞれのケースで予算面の注意点を説明していきます。

2-1.インハウス|キャンペーンで作業負荷と相場観を掴む

インハウスを選択している企業の多くは、予算規模の少ないサイトを運営しているケースが多くあります。
専属のリスティング担当者を抱えている場合もありますが、それはレアケースだといってもいいでしょう。

インハウス運用の最たるメリットは、運用を外注する際に発生する手数料が存在しないことです。費用の安さという点では、間違いなく外注に勝ります。
ただし、見過ごせないポイントは作業負荷の高さです。

まずは、インハウス運用の実態とメリット・デメリットを把握しておきましょう。

2-1-1.インハウス運用の実態

インハウスの多くは、専属ではない人が自分の作業の合間に広告運用しています。
web担当者ならまだしも、営業事務や経理の担当者、規模によってはマネージャーや経営者が運用していることも珍しくありません。

リスティング広告の基本設定は簡単なので、上記のような体制で開始することは可能です。
それだけでなく、ビジネスを理解している社内の人間が運用すると、リスティング専門の外注企業よりも顧客に響く広告文を作れることも少なくありません。

ただし、効率よく費用対効果を上げたいと思ったときに、インハウス運用だと行き詰ることが多々あります。
その理由は、リスティング広告の高機能性とバージョンアップ頻度の高さです。

初期設定をして予算さえ途切れないようにしておけば、広告表示自体は継続させられます。
しかし、より効果を上げるために適切な機能を使い、日々のバージョンアップ情報を追いかけていくことは、本職の片手間では高負荷の作業となります。

これは、例えるとパソコンの操作に似ています。
日常的に使用しているパソコンには、知らない機能や使いこなせていない機能が多くあるはずです。それでもメールは打てますし、インターネットもできます。
リスティング広告もこれと同じです。
機能をすべて使いこなせなくても、広告出稿は可能です。ゆえに、インハウス運用は不可能ではありません。
しかし、機能を熟知して効率よく効果を最大化することは難しいのです。

GoogleやYahoo!には充実したサポートはありますが、電話やメールでのアドバイスだけでは限界があります。
複雑な機能を追いかけて実際に使いこなすためには、兼務だとなかなか難しいといえます。

ただし逆にいえば、兼業で十分こなせる人材がいる場合は、インハウス運用のコストパフォーマンスは非常に高くなります。

2-1-2.キャンペーンで試用して作業負荷を理解する

兼業でも運用できる人がいるのであれば、社内運用は優れた選択肢です。
しかし運用負荷が高く対応できない場合は、「費用対効果が改善できない」「作業時間が多く人件費がかさむ」などの理由から、結果的にコストパフォーマンスが悪化することもあります。

費用対効果の悪化を防ぐためには、本格的な広告運用を始める前に、一度試用してみることをおすすめします。
GoogleもYahoo!も、新規出稿者を募るお試しキャンペーンを頻繁に実施しているため、これを利用して試用してみるといいでしょう。

GoogleやYahoo!のアカウントを持っていれば、「リスティング○○円分をプレゼント」などの案内メールが届くはずです。
こうしたお試しキャンペーンを使って数日程度実際に運用してみて、本格的な導入の有無や社内運用の可否を見極めるといいでしょう。

また、試用は予算決定の材料にもなります。
こういったキャンペーンでは数千円から数万円程度の試用ができるので、何日間でどれだけの広告料を消費したかを把握しておけば、逆算して月額や年額の予算を組み立てることが可能です。

2-2.外注|費用対効果の高い外注先を選ぶ

インハウスでできるリスティング広告ですが、外注業者も多くあります。
キャンペーンで試用してみて社内で回す余裕がないと判断した場合は、外注を視野に入れてもいいでしょう。

外注する場合は、当然その分手数料が上乗せされます。
手数料を支払うからには、プロによる費用対効果の改善を求めることが当然です。

PDCAを適切に回せる優れた業者を見極めることは、現実問題かなり困難です。
しかし下記ポイントに気を付けることで、予算を食いつぶすダメな業者をかなりの確率で避けられるようになります。

  • 手数料が相場から著しくずれていないか確認する
  • コミュニケーションをきちんと取れるか確認する
  • 運用体制を事前に確認する
  • アカウントの取り扱いを確認する
  • 外注への依頼範囲を決める

ダメな業者に委託してしまうことは、インハウス運用よりもはるかに悪い結果を招きます。
貴重な予算を無駄にしないために、ひとつずつチェックしていきましょう。

手数料が相場から著しくずれていないか確認する

標準的な運用手数料は、広告費用の20%程度です。

広告費自体が数百万~数千万円などと高額になる場合は、15%前後になることもあります。
逆に広告費自体が少ない場合、最低固定料金が適用されたり、案件そのものを受け付けなかったりと取引条件を定めているところも多くあります。

しかし、中にはそれよりも安かったり高かったりする金額設定をしている企業もあります。
あまりにも高額なところは当然として、手数料が10%前後と格安のところも注意しましょう。

業者は、手数料をもらって「初期設定」「日々の運用・改善」「月次レポート作成」「定例ミーティング」などを行います。
この中でもっとも重要なポイントは、ふたつめの「日々の運用・改善」です。

リスティング広告を始めとする運用型広告は、PDCAを適切に回すことで効果を最大化できるようになります。
しかし格安の業者の場合、この「日々の運用・改善」をあまりやらない、下手をすればまったくやらない可能性があります。

日々の運用は、外注してしまうとどうしても見えづらいポイントです。
手数料が安すぎる場合、それだけ手間をかけていない可能性があることを認識しておきましょう。

コミュニケーションをきちんと取れるか確認する

リスティング外注以外のあらゆる分野でも共通することですが、コミュニケーションがきちんと取れる企業を選ぶことは最重要ポイントです。
担当者と密なやり取りを行うケースも少なくないため、レスポンスの速さや意思疎通のスムーズさは事前の打ち合わせでチェックしておきましょう。

契約時は営業が窓口で契約後は運用担当者にバトンタッチ、というケースはままあることです。
また、「セミナーで話をしてくれた人が良さそうだった」という理由で会社を選んだ場合も、運用担当がその人であることは稀です。

できれば、契約前に運用担当者が誰か確認し、事前にコミュニケーションが円滑に進むかどうかチェックしておきましょう。

運用体制を事前に確認する

実際の運用がどういった体制で行われるのか、という点もチェックしておきたいポイントです。
誰が何を確認して、どんな改善を行うのか事前に尋ねておきましょう。
また、「緊急時の対応はどうなっているか」「連絡方法はメールなのか電話なのか」なども確認しておきたいポイントです。たとえば、「連絡はメールでのみしか受け付けない」といった体制だと、スムーズなやり取りができない懸念があります。

アカウントの取り扱いを確認する

リスティング広告は「アカウント」のもとで各広告が展開されます。
そのため、アカウントの権利を外注先が握っていたら、業者変更やインハウスに移行する際にすべての広告情報がリセットされてしまいます。

これを避けるために、アカウントの取り扱いは取引条件で必ず確認しましょう。
どれだけ魅力を感じる外注先であっても、アカウントの権利を渡されない場合は、最悪すべての蓄積がリセットされる可能性があると理解しておきましょう。

外注への依頼範囲を決める

広告運用の代行は「初期設定から日々の運用、報告まで」という形が多いですが、「設定済の広告を運用だけ代行する」「最初の設定だけ代行する」など、限定的な業務を引き受けてくれることもあります。
また、必要なときにアドバイスする、というコンサルティングサービスもあります。

自分たちに必要なサービス範囲を把握した上で、外注先がどこまで対応してくれるのか、事前に確認しておきましょう。

3.費用対効果を上げるための原則

最後に、確保した予算を無駄にしないために、費用対効果を最大化するための原則を3つ紹介します。

3-1.マーケティング全体で最適化する

リスティング広告の目的は常に、「集客をしたい」「売り上げをあげたい」という点にあります。逆にいえば、これらの目標を達成できさえすれば、その手段はリスティングでなくても構いません。
費用対効果を最大化するためには、まず「そもそも自社のビジネスにとってリスティング広告が最適なマーケティング手法なのか」を検討することをおすすめします。

多くの場合、目的達成の手法としてリスティング広告が選択をされる理由は、リスティング広告自体の知名度が高いからです。
また、「費用対効果が高い」「手軽に始められる」といった評判もセットで認識されているでしょう。

しかし近年では、業界や業種によってクリック単価が高騰しているものが出てきています。
一般的に、「不動産」「保険」「人材サービス」「英会話」「金融」などはクリック単価が高く、必ずしもコストパフォーマンスがいいとはいえません。
また、SEOなどを含めたwebマーケティング分野も、自社サービスの宣伝も兼ねた競争が熾烈です。

こうした業界のビッグキーワードは、大手が豊富な資金力で押さえてしまっています。
そのため、こうした業界に籍を置く中小企業は、ビッグキーワードやビッグキーワードを含めた複合キーワードで出稿することは得策ではありません。

また、リスティング広告自体と相性が悪い業界もあります。
「オウンドメディアを作ってSEOに注力する」あるいは「ポータルサイトに情報掲載をきちんと行う」などの施策の方が有用であったり、場合によってはポスティングなどのオフライン手法の方が役立ったりすることもあります。
他にも、既存顧客が中心のビジネスなら、CRM(顧客情報管理)を強化する方に予算を割くべきかもしれません。

リスティング広告は、「webマーケティングの唯一にして絶対的な手法」ではありません。
手段が目的化しないよう、視野を広く持ち、リスティング広告そのものの導入や位置づけから考えていきましょう。

3-2.webサイト自体を疎かにしない

マーケティングに精力的な人ほど陥りやすいものが、「リスティングに注力し過ぎてサイト運営が疎かになってしまう」というパターンです。

ABテストやLPO(ランディングページ最適化)など広告関連の改善施策には積極的でも、webサイトは放置、というケースは珍しくありません。
仮に広告から企業に興味を持ってくれたユーザーがいたとしても、webサイト本体が更新されていなかったり情報が見つけづらかったりしたら、そのまま機会損失に繋がります。

これは、予算が限られていて「費用を広告と制作どちらに充てるか」という二者択一を迫られたときに陥りやすいシチュエーションです。
仮にユーザーにとって有益でないサイトであっても、広告を出せばそれなりにアクセス数は増えます。しかしそれは、ザルに向かって一生懸命水を注ぎこもうとしているような行為です。受け皿になるサイトが整備されていなければ、せっかくの広告予算も無駄になってしまう場合があります。

サイトが充実して始めて、「集客(広告)→成果」という流れが成立します。
これを常に意識して、広告予算が無駄にならないよう制作面も整える必要があります。

3-3.時期や流行による変動も考慮する

多くの業界で、時期によって「売り・買い」の山ができます。
いわゆる繁忙期ですが、競合が凌ぎを削るこの時期はクリック単価も高くなりがちなので、予算設定にはそれも考慮しておきましょう。

繁忙期に予算を多めに確保しておくべき理由は、クリック単価だけが理由ではありません。
普段は使用しない「お中元」「クリスマスセール」などのキーワードも追加して販売拡大を狙うため、その分の費用が必要なのです。

また、こうした周期的に巡って来る繁忙期ではなく、流行や時流により山が大きく盛り上がるケースもあります。
たとえば少し前に「ココナッツオイル」が話題になりましたが、ブームの時期は検索ボリュームも大きく伸びました。当然、リスティングの競合も多くなります。

他にも「消費税増税」などのニュースは消費を大きく左右するため、新しいキーワード選定が必要になることもあります。

予算を決定するときは、周期的に訪れる繁忙期用の予算を組んでおくことはもちろん、一時的な流行やニュースにも対応できる臨時予算確保も視野に入れておきましょう。

4.まとめ

枠や掲載媒体ごとに金額が決まっていないリスティング広告は、予算目安を一律には考えられません。
そのためピンポイントの予算感はお伝えできませんでしたが、まとめとして、主に中小企業の担当者向けのアドバイスを最後にお伝えしたいと思います。

中小企業の場合はとくに、実際に出せる予算上限が明確にあるでしょう。
ですから、その額を目途として「かけられる費用」から予算を決めていくのが現実的なはずです。
1-2.費用上限から決定する」で紹介したパターンですね。

とはいえ初めての場合、リスティング広告にかかる費用相場が見当もつかないはずです。
ですから最初は、「キーワードプランナー」や「キーワードアドバイスツール」などを使って、簡単なシミュレーションは実施しましょう。

シミュレーションを実施しておけば、たとえば会社から10万円/月の予算で効果を出せといわれたときに、「クリック単価は300円だから1日に稼げるのは10クリック程度、これで成果を出すのは難しい」と明確に説明できます。
そうすれば、商材の単価などの情報を加味して、必要な予算を導き出せるようになります。

リスティングの費用は曖昧で理解しづらいところもありますが、ひとつの項目ではなく多角的な観点から考察を繰り返し、適正な額での効果的な運用を目指していきましょう。

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