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リスティング広告の2大デメリット|代表的web広告に潜む落とし穴

作成日:2016.03.17

最終更新日:2016.09.30

カテゴリー:リスティング広告

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あなたは、リスティング広告のデメリットを本当に理解できていますか?

今やwebマーケティングには欠かせないリスティング広告ですが、有名だからこそ「よく理解していないけれどなんとなく運用している」という人も多いはず。
しかし、巷でいわれている「費用対効果が高い」という言葉を鵜呑みにしてデメリットを理解しないまま運用すると、広告予算を大幅に無駄にしてしまいかねません。

リスティング広告は、確かに費用対効果の高い広告です。
ただし、正しい知識を持って日々の運用を適切にこなしていれば、という条件がつきます。
そして「正しい知識」と「適切な運用」には、デメリットの把握が必要不可欠なのです。

この記事では、経営者と実務担当者が理解しておくべきリスティング広告の2大デメリットを解説していきます。
確実に売り上げに繋がる運用を目指して、まずは「リスティング広告にできないこと」を把握しておきましょう。

関連記事:「リスティング広告とは?いまさら訊けない基礎知識

1.露出マーケットの限界

1つ目のデメリットとして、広告を見る人の数に限界があることが挙げられます。

当然ですが、広告は見られなければ意味がありません。
見ていない人にはアプローチできないため、まずは見てもらう必要があるのですが、リスティング広告は見てもらえる範囲に限界があります。
裏を返せば「ターゲット層に強い訴求力を持つ」というリスティング広告特有のメリットにもなるのですが、ここではデメリットとしての側面を解説していきましょう。

1-1.ネットを見ない層にはアプローチできない

インターネット広告全般にいえることですが、普段ネットを使用しない層にはアプローチできません。
自分が宣伝を行いたいターゲット層が日常的にインターネットを使用するのかどうか、まずはその大前提をリサーチしておきましょう。

たとえば、高齢者層はネット人口が非常に少ない層です。
高齢者向けの商品やサービスを宣伝するのなら、オフラインの手法を用いた方がいいかもしれません。リスティング広告を利用したいのであれば、「宣伝ターゲットを高齢者自身ではなく介護層に移す」などの工夫が必要となってくるでしょう。

1-2.検索数に限界がある

検索結果連動型広告の場合、広告の表示回数はキーワードの検索回数に左右されます。つまり、「キーワード検索数の上限が表示機会の限界」だということです。

たとえば、A市で結婚式場を経営している場合を考えてみてください。
このとき、もっとも効果が期待できそうなキーワードが「式場 A市」だったとします。
実際に広告を打って問い合わせが入るようになり、売上が伸びたとしましょう。

こうなると、より高い利益のために、より多い広告費を投入したくなりますよね。
しかしどうしても、あるラインで頭打ちになってしまうはずです。

なぜなら、A市で結婚式を挙げるために「結婚式 A市」というキーワードを検索する人の数には、そもそも限りがあるからです。

「結婚式場 A市」というキーワードが、月間で1万回検索されるとしましょう。
この場合、どれだけ広告費をかけても「月間で検索される回数は1万回」という事実は変えることができません。
このため、1万回という検索ボリュームが、「結婚式場 A市」というキーワードの市場規模ということになります。

このように、キーワードにはそれぞれ検索回数の上限があります。ですから、どれだけ予算をかけても、検索回数の上限が問い合わせ数の上限となります。

この市場規模の限界は、さらに2つのデメリットの要因となります。
その2つをみていきましょう。

1-2-1.潜在顧客が得づらい

見込み客に対するアプローチが得意なリスティング広告ですが、その一方で、潜在顧客にはあまり強い働きかけができません。
特に検索結果連動型広告は、潜在顧客の育成・開拓に最適の手法、とはいえません。

「メンズエステ」というキーワードを例に説明していきます。

メンズエステは、認知度が上がってきたとはいえ、まだまだその存在を知らない人もいるサービスです。
しかし、メンズエステという言葉を知らない人の中にも、ヒゲが濃くて困っている人や体形について悩んでいる人がいます。そういった層にメンズエステのサービスを知ってもらえれば、一定数の人はやってみたいと思うはずです。いわゆる潜在顧客層ですね。

ところが、潜在顧客層の多くは、商品やサービスの内容どころか存在自体を知りません。
つまり「メンズエステ」というキーワードを検索することがないので、そのキーワードでリスティング広告を出してもアプローチできないのです。

「メンズエステ」以外の単語を指定してキーワードを工夫すれば、潜在顧客層にリーチすることも不可能ではありません。
ただし、知識やノウハウが必要とされるため、初心者にはやや難しいテクニックであるといえます。

1-2-2.人気キーワードにおける競争の熾烈化

リスティング広告には、キーワードごとの市場が存在します。
人気のあるキーワードには多くの競合が集まるため、熾烈な競争が発生してしまいます。

リスティング広告はクリック課金制であり、1クリックの単価は入札によって決まります。
より高い値段をつけた方がより高い掲載順位を得られるので、競合の多いキーワードは、必然的に入札価格が上昇します。
単純に検索数の多いキーワードやコンバージョン率の高いキーワードなど、宣伝したい商品やサービスと的確に結びつくものは、人気のキーワードです。
人気のキーワードは競合が多くなり、その結果、高単価になってしまうのです。

たとえば、「即日 キャッシング」というキーワードがあります。
このキーワードは、検索数が多くコンバージョン率も高いのでしょう。複数の企業が入札で競争しており、クリック単価がなんと約5,000円もします。

このように、売り上げに直結しやすいキーワードは競合も多くなります。
競合が多いほど多額の広告費が必要になりやすいシステムですから、慎重に運用する必要があるでしょう。

2.運用の作業コスト

2つめのデメリットとして、運用にかかる作業コストが挙げられます。

費用対効果の高いリスティング広告ですが、作業コストの負担は見過ごせないものがあります。特にノウハウのない自社内運用の場合、負担が増大する傾向にあります。
具体的にどのような手間がかかるのか確認していきましょう。

2-1.初期設定が複雑

リスティング広告を使用するには、まず広告の初期設定が必要です。
一般的ではない用語で複雑な設定を要求されるため、初心者はこの段階で躓いてしまうことがあります。
どんな設定が必要なのか、かいつまんで説明してきましょう。

2-1-1.アカウント開設

リスティング広告を使用するには、アカウントが必要です。
そしてアカウント開設には、申請だけではなく審査を受けなければなりません。
申請から審査までの過程がスムーズに進んだとして、新規アカウントの開設までに、Googleでは1営業日、Yahooでは2~3営業日が必要です。

2-1-2.アカウント構成の作成

アカウントを開設したら、広告を出稿するために必要な要素を設定していきます。

リスティング広告のアカウントは、Google・Yahooともに「キャンペーン」や「広告グループ」といった階層から構成されています。
キャンペーンや広告グループの設定は、リスティング広告運用において必須の作業です。活用できれば非常に有意義な設定なのですが、一見では理解しづらく、初心者に敬遠される要因にもなっています。
詳細:「運用初心者にもできる!リスティング広告の始め方

キャンペーン
ここでは、細かいターゲティングの設定を行うことができます。
広告を配信する曜日や時間帯、地域、デバイス(PC、スマートフォン)などから、対象層を絞り込みます。また、予算設定もこの階層で行います。

広告グループ
ここでは、検索キーワードを設定し、そのキーワードに広告を紐づけることができます。
特定のキーワードと広告のセット、と考えると分かりやすいです。

キャンペーンでは、予算設定をしっかりしておかないと、大きな失敗につながる可能性があります。
「予算設定をしっかりとせずに、半年分の広告予算を1ヶ月で使い切ってしまった」「関東圏向けの広告なのに全国に配信してしまい、広告予算を無駄にした」といった例も少なくありません。
このような失敗をしないために確実に設定する必要があるのですが、具体的なイメージのない初心者にとって難易度の高い設定だといえます。

また、広告グループの設定も広告効果を上げるために非常に有用なものですが、初心者にとっては難解だといえます。
例を挙げて説明てみましょう。

たとえば、B市でフレンチレストランを経営しているとします。
リスティング広告を使用するにあたり、ふさわしいキーワードとして「フレンチ B市」「子連れ ランチ B市」「女子会 B市」などが考えられるとしましょう。

このとき、キーワードごとに少しずつニーズが異なることが分かるでしょうか?
すべてのキーワードに同一の広告を表示するよりも、それぞれのニーズに対応した個別の広告が配信されれば、より強くターゲットに訴求することができます。
子連れでも入れるレストランを探しているユーザーには「キッズスペースあります」という広告が効果的ですし、女子会の会場を探しているユーザーには「女子会コース割引プラン有り」といった広告が有効だと考えられます。

このように、広告グループでは、ユーザーの属性に応じて表示する広告を変えることができます。効果的な宣伝を行うために重要な設定ですが、キャンペーン設定と同様、初心者には難易度が高いといえます。

これらの複雑な初期設定の存在が、初心者の運用に対する敷居の高さを演出しているといえるでしょう。導入の是非を検討するときに、大きなハードルとなるポイントです。

2-2.ルーティンの負担

初期設定が終了すると、今度は日々のルーティン作業が待ち構えています。
このルーティンが、担当者にとってかなり大きな負担となります。

日常的にやるべきことの1つが「入札単価の見直し」です。
推奨クリック単価は、競合の動きによって日々変動するからです。

1クリック100円だったキーワードが、TVや雑誌で紹介された途端、10倍以上の価格まで跳ね上がることもあります。
こういった場合、それまでと同じ入札価格だと競合に負けて広告が表示されなくなってしまいます。そのキーワードで広告を出し続けたいのであれば、新しく入札価格を設定し直す必要があります。

また、日常的な確認が必要なものとして、「マッチタイプ」や「検索クエリ」が挙げられます。この2つは、「どんなキーワードが」「どんなふうに一致して」検索されたのかが分かるものです。

それぞれ簡単に解説していきましょう。

マッチタイプ
「広告主側が設定したキーワード」と「ユーザーが検索したキーワード」がどの程度近しければ広告が表示されるのか、を設定する項目です。
部分一致や完全一致、フレーズ一致などから選択することができます。

検索クエリ
広告が表示されたとき、ユーザーが実際に検索したキーワードのことです。
広告主が「イチゴ」というキーワードを部分一致で設定し、ユーザーが「イチゴ大福」と検索して広告がヒットした場合、「イチゴ大福」が検索クエリとなります。

これらを見直すことで、ユーザーのリアルなニーズを掘り出し、広告の無駄打ちを避けることができます。

また、他に「曜日・時間帯」「デバイス」なども日々の確認が必要な事項です。これらの情報を常に確認し、不要なキーワードを削ったり、コンバージョンの多い時間帯を調べたりしなければなりません。

さまざまな情報が数値で確認できるのはリスティング広告の利点ですが、それらを日々確認し改善することは、担当者の大きな負担となります。

2-3.PDCAの肥大化

ルーティンをこなしていくと、定期的にそれを見直す必要が出てきます。

流行や季節など、様々な要因によって、顧客の需要や人気の検索キーワードは常に変動しています。ですから日々数値を確認するわけですが、それだけでなく、実験・記録を重ねて改善していく必要があります。
「計画を立て、実行し、結果を評価して改善する」という、いわゆるPDCAサイクルを恒常的に回していかねばならないのです。

戦略の立案、実験と測定、数値の分析、そこからの改善。アカウント内の設定だけでなく、ランディングページの見直しもときに必要となってきます。改善を重ね、そこから得られた数値の変動をもとに状況を分析し、また計画を練り、改善を重ね・・・。
日々の運用業務だけでなく、こういった中長期的な戦略が必要になってくるため、うまく軌道に乗せることができなければPDCAは肥大化していきます。

3.まとめ インハウスにおける課題

リスティング広告は効果的なマーケティング手法ですが、ここで述べたデメリットについてはきちんと把握しておく必要があります。

とくに、近年増えている社内運用をする場合は、その作業コストを正しく理解しておかなければなりません。
インハウスで運用するならば、複雑で膨大な作業をこなしつつ、日々の業務にあたることになります。また、競合他社の中には代理店に依頼しているところもあるでしょうから、ノウハウを持った代理店との競争に参加することになります。

「マーケットの限界をいかにメリットへと転換できるか」、そして「運用できる時間と社員をいかに確保するか」。この2点が、インハウスでリスティング広告を活用していくための課題といえます。
担当者の育成と社内ノウハウの蓄積が、うまく運用していくための鍵となるでしょう。

メリットの詳細:「マーケター必見!リスティング広告の3大メリットとは

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