Googleが新アプリ「Google Spaces」を発表。また失敗か?
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2016年5月16日、Googleが新しいグループチャットアプリ「Google Spaces」を発表しました。
共通の話題を持つ少人数のグループでチャットができるアプリで、Googleの公式ブログでは、「このアプリにはGoogle検索、YouTube、Googleクロームが内蔵されており、Web上の記事や画像、動画を簡単に検索して共有することができる」と紹介されています。
「Google Wave」「Google+」「Buzz」「Dodgeball」「Orkut」「Latitude」など、数々のソーシャルサービスで失敗してきたGoogleですが、すでに海外では「私がGoogle Spacesをとっくにアンインストールしてしまった理由」や「Googleが未だに社交的でないことをSpacesで証明」といった否定的な記事が見受けられます。
当ブログ編集チーム数名も実際に利用してみましたが、「他のチャットアプリよりも格段に使いにくく、機能の少ないアプリ」といった印象を受けました。
ラインやスカイプ、ブラックベリーメッセンジャーなど、グループチャットを利用できるアプリは多種多様ですが、Google Spacesは既存のサービスとどう違うのでしょうか。
Google Spacesの特徴をまとめ、使用時に感じた問題点を解説していきます。
1.Google Spacesの使い方
Google Spacesの主な特徴は、大きく分けて以下の2点です。
- スペース内では投稿ごとにチャット形式のコメントができるため、話題が入り乱れない。
- アプリ内蔵ブラウザでGoogleやYouTubeで検索ができ、見つけた記事、画像、動画を簡単に共有できる。
Google Spacesを利用するには、まず「スペース」と呼ばれるグループを作成します。自分で作成することも、別の人が作成したスペースに参加することも可能です。
スペース内では、Webページや記事、画像、動画などを投稿できます。この投稿はスペースに参加している人に共有され、各投稿にチャット形式でコメントをつけることができます。
他の人とのチャット形式でやり取りを行えるのは各投稿の「コメント」の部分だけであるという点が、他のチャットアプリとの最大の違いでしょう。
たとえば、ラインで「映画好きの集い」とグループを作成したとします。
このグループチャットの中では、邦画、洋画、アメコミ映画などなど様々な話題が飛び交うことでしょう。
グループのメンバーは「映画」という議題のもと、様々な話題を共有します。特定のジャンルの映画の話題、たとえばアメコミに関する特設ページを紹介しようとしても、他の話題に埋もれてしまうかもしれません。
ですから、「アメコミ映画の話だけしたい」といった場合は、新たに「アメコミ映画ファンの集い」のようなグループを新たに作成する必要があります。しかしこれでは、話題が細分化するにつれグループも際限なく増えていってしまいます。
ところがGoogle Spacesでは、「映画好きの集い」というスペースを作成した後、投稿された話題ごとにコメントができます。スペースの中に掲示板を複数立てられるようなイメージですね。ですから、話題が入り乱れることがありません。
また、アプリ内でGoogle検索やYouTube検索ができるため、アプリを切り替えることなく記事や動画を探すことができます。
共有したいページを見つけたら、右下の青いボタンを押して、投稿できます。コメントをつけて投稿すれば、そのコメントが投稿のタイトルのように表示されます。
共有したいWebページが無い場合は、単に「洋画」と題した投稿をすればチャットを始められます。
2.実際に使用してみた感想
当ブログ編集チームでも、さっそくGoogle Spacesを利用してみました。
しかしGoogleが利点として紹介している「投稿による話題の統一」「アプリ内でのブラウザ検索・共有が可能」という特徴よりも、以下二つの問題が目立っていた印象です。
- Gmailのアカウント情報が使われる
- 各スペースにURLしか割り当てられていない
Google Spacesを利用する際は、Gmailアカウントでサインインしなければなりません。
スマホやブラウザですでにGmailにログインしている状態だと、スムーズにGoogle Spacesを利用できますが、サインインしたアカウントに登録されている姓と名がそのままGoogle Spacesに表示されてしまいます。
「オンライン上の趣味の集いで使う」といった利用法だと、本名を隠したい方も多いでしょう。その場合は、Gmailのプロフィール情報自体を変更するか、Google Spaces用のGmailアカウントを別に作成しなければならないので、非常に面倒です。
「社内の情報共有用に使う」というように、本名が表示されても差し支えない場合も、ふたつ目の問題点が足かせとなります。
各スペースにはIDやQRコードは存在せず、URLしか割り当てられていません。
また、Google Spacesのアプリ内では他のユーザーが作成したスペースを検索することもできません。
なので、メールやライン、ツイッターなどの別のアプリでURLを送信しなければならないのです。
さらに、URLを知っている人なら誰でも自由にスペースを閲覧したりスペースに参加したりできるため、スペース内でのプライバシーが確保されません。
スペースのURLを削除すれば他人からの閲覧はできなくなりますが、ユーザーを招待したいときはまた新しくURLを生成しなければならず、使い勝手が悪いです。
それ以外にも、細かい部分では下記のような問題点があります。
- コメントを編集、削除できない
- スペース内の投稿の一覧がなく、投稿を探しにくい
- スペースのメンバーと個人チャットができない(別途Googleハングアウトが必要になる)
- iOSでは共有された動画をアプリ内で再生できない
3.まとめ
友人同士や趣味の集まりなど、少人数グループでの情報共有に特化しているアプリと紹介されていますが、率直に述べると今使っているチャットアプリから乗り換える利点がないという印象でした。
とはいえ、ずっとこのままでもないでしょう。
他のチャットアプリから大幅に出遅れてのスタートであるため、使いにくさが目立っていますが、今後のアップデートで問題点が改善されていくかもしれません。
Googleは今回こそソーシャルサービスで成功することができるのでしょうか。
【参考ページ】
- Official Google Blog: Introducing Spaces, a tool for small group sharing
- tom’s guide: Why I’ve Already Deleted Google’s Spaces Chat App
- PCMag.com: Google Spaces Is a Pointless Exercise
- Engadget: Spaces proves Google still doesn’t get social
【Google Spacesを使用したデバイス】
- Xperia Z3(Android 5.02)
- iPhone 5s(iOS 9.2.1)
- dynabook AZ55(Windows 10)